▽物価はさらに上昇の可能性あり
データをみると、第1四半期(1~3月)の経済成長が急速に過ぎ、過熱傾向にあったことは間違いない。しかし少なからぬ専門家が、こうした急速・過熱傾向はまだ受け入れ可能な範囲内にあるとし、第2四半期(4~6月)には消費者物価指数(CPI)は正常な水準に戻ると予測する。
第1四半期のCPIの増加幅は、去年の要因を取り除くと、コアCPIは相対的に安定している。国家発展改革委員会マクロ経済研究院の陳東琪副院長によると、総合的にみて、現在の物価は全体的に「基本的安定」ゾーンから大きく離脱しておらず、社会的に受け入れ可能な範囲内にある。短期的には高いインフレリスクは存在せず、国民経済は依然として高度成長・低インフレの軌道の上にある。UBS銀行関係者の分析によると、第1四半期の物価の急速上昇は一時的なもので、コアCPIの増加率も全体的なCPIに比べて安定しており、第2四半期のデータは正常なレベルに戻ることが予想される。
しかし政府と業界関係者は、CPIには継続的上昇の圧力があり、高度に警戒し続ける必要があるとの見方で一致する。国家統計局の李暁超報道官は記者会見で、現在は一定のインフレ圧力が存在しており、今後もCPIには継続的な上昇の圧力が存在するとの見方を示した。北京大学国民経済計算研究センターの蔡志洲研究員によると、過去のコスト主導型のインフレ圧力は、大部分が生産者により消化されてきた。現在は消費ニーズの伸びが急速で、ニーズ主導型のインフレ圧力が起きている。この2種類のインフレ圧力が結びつくと、物価や経済の全体的情勢に極めて大きな影響をもたらすことになる。
北京大学経済学院の劉偉院長によると、今後も物価は上昇する見込みだ。われわれが現在抱えている主な矛盾がニーズ不足で、雇用問題を解決しなくてはならないとするならば、経済のさらなるスピードアップとニーズの拡大が必要だ。政府は引き続き成長を牽引し、成長ペースを維持する必要がある。このため政策はもとより、市場の役割の自然な周期からみても、物価はさらに上昇することが予想される。しかしこうした上昇は経済が新たな繁栄期を歩み始めたことを示す重要なシンボルであり、恐れることはない。
専門家の見方によると、長年続いた経済的繁栄は、驚異的なペースで国民の富を生み出したとともに、日々増大する系統的リスクをも積み上げた。現在の物価上昇とインフレ圧力を過度に心配する必要はないが、軽視してもいけない。
「人民網日本語版」2007年5月16日