汎北部湾地域経済協力の位置づけ
汎北部湾の経済協力は異なる主権国家間という条件のもとでの地域経済協力であると同時に、異なる関税地域の間――自由貿易区や均一関税/経済連盟にまたがる地域協力であり、経済体の一部の領域に関わる弾力性のある地域協力メカニズムでもある。その協力の方向および基本的な位置づけは、中国―ASEAN戦略的パートナー関係および中国―ASEAN自由貿易区枠組みの下で、中国―ASEAN海上地域協力を重点的に推進することである。
まず、主権の異なる国家間において、制度の整備を通じて地域経済の一体化を促す。
汎北部湾協力は、中国、ベトナム、マレーシア、シンガポール、フィリピンなど主権の異なる国家間で展開されている経済協力である。市場経済のルールや市場メカニズムに従うとともに、異なる経済体間の協定や組織形態を通じて地域協力を推し進めるものである。このプロセスにおいて、制度整備は単純なものから複雑なものまで、低いレベルのものからハイレベルのものまで、漸進的に行われ、地域経済の一体化は徐々に深まることになる。
次に、中国-ASEAN自由貿易区の枠組みのもとで、生産要素、モノの貿易、サービス貿易における協力関係を深める。
汎北部湾経済協力区は、中国-ASEAN自由貿易区における重要な地域協力であり、中国-ASEAN自由貿易区の基礎の上で、地域協力の内容と形式をいっそう発展させることが出来る。
最後に、汎北部湾協力は、中国-ASEAN間の重要な海上地域協力である。
汎北部湾地域協力体制に参加しているのはいずれも海洋国家及び地域であり、海洋の優位性がある。温家宝総理は、2003年10月インドネシアのバリ島で行われた「10+3」「10+1」サミットに参加した時、中国政府は「海上ASEANの構築に積極的に参加する」と宣言した。汎北部湾経済協力区の構築は、中国が「海上ASEAN」に参与するために、新たなルートを切り開いている。
汎北部湾協力は中国-ASEAN海上地域協力として、陸上のメコン川地域協力とあいまって、中国-ASEAN間の海、陸両面からの全面的協力を促す役割を果たしている。