政府が講じた措置
インフレの警戒を受けて国務院は8月13日、各地区、各当局に対し緊急通達を出し、豚肉など副食品の生産と供給を促すための各政策・措置をさらに着実に実施して、市場への供給を保証し、価格の安定を維持するよう求めた。通達は「消費者物価指数の総体的な水準は明らかに上昇しており、当面のマクロ経済運営で突出した問題となっている」と指摘した。
商務部と財政部は8月14日、「中央が備蓄する肉の管理弁法」を共同で公布。同弁法は9月15日から施行される。備蓄肉とは、国が重大な自然災害や公共衛生にかかわる事件、動物による疫病発生、またはその他の突発事件による市場の非正常な動揺、市場の調整に対応して用いるために備蓄した肉類製品のことで、豚や牛、羊などの家畜とその冷凍肉も含まれる。
同弁法の公布と施行は、政府が肉類価格によって引き起こされる可能性のあるより重大なインフレを防止、救済するための備えだと言える。
同弁法は次のように規定している。中国農業発展銀行は、国の関係する信用貸付政策と備蓄肉計画に基づき、信用貸付による支援を行うとともに、監督・管理を行うことで、資金の安全性を確保することに責任を負う。財政部は、備蓄肉に関する財政財務面での管理、補助金の支給とその管理に責任を負う。商務部は、備蓄肉に関する行政管理のほか、備蓄する地域の配置、備蓄する代理企業や倉庫、飼育基地、加工企業の適性審査に責任を負う。
その一方、政府はインフレ蔓延を重点的に防止することを徹底して重視。国家発展改革委員会は8月6日、各地方の価格主管当局に対し、当地のすべての食品製造企業、卸売企業、小売企業を引き網式に調査し、穀物や油、肉・家禽・卵などの基本的な生活必需品を中心に、談合と吊り上げや詐欺など、不公正な価格行為がないかを厳密に調査するよう求めた。同委員会の意図が、一部の副産品価格の上昇がその他の商品へ波及するのを防ぐことにあるのは明らかだ。
国務院の統一的政策に基づき、先ごろ、国家発展改革委員会と財政部、農業部、商務部、工商総局、品質検査検疫総局の6部(省庁)は共同監督検査グループを組織し、河北省や四川省などで主要農業副産物12品目について供給の状況、物価の安定などについて調査を行った。
深刻なインフレはない
国務院発展研究センターの経済情勢分析課題グループの報告は「総じて見れば、現在の消費者物価の上昇は構造的なものであり、商品価格が幅広く持続的に上昇するまでには至っていない」と指摘した。
重化学工業の原材料はこの数年、供給不足から生産能力過剰へと転じており、火力用石炭や輸送燃料のひっ迫状況はほぼ解決され、生産資材の価格上昇幅も低下の傾向にある。
CPIは7月にこの10年で最高を記録したが、注意すべきは、食品を除くインフレ指数が比較的安定しており、前年同月比でわずか0.9%の上昇だったことだ。国際的に幅広く採用されている核心となる消費者価格指数で見ると、今年1~6月の指数はわずか0.9%で、ほぼ安定している。これは、物価上昇が深刻なインフレになるまでには拡大していないことを意味するものだ。
国務院発展研究センターのマクロ経済研究部の盧中原部長は「国の食品価格をコントロールするための各措置が徐々に効果を上げていけば、CPIの上昇幅もゆっくりと低下していくと予想される。現在、中国経済は急速に発展し、夏の穀物も豊作であり、秋の穀物も高い収穫となれば、食品価格上昇の勢いは著しく落ち込むだろう」と分析する。
雷曼中国チーフエコノミストの孫明春氏は「5.6%の数字はわれわれの当初予想の水準(5%)を上回った。だが、CPIの各指数を詳細に検討すれば、これまでのところ、食品価格の上昇がその他の分野に波及することを示す顕著な兆しは見られない」と指摘。
姚景源氏も「各措置が徐々に着実に実施されていけば、食品価格の急激な上昇の勢いは有効に食い止められ、年間CPIは4%以下に抑制されると思われる」と強調する。
「北京週報日本語版」より2007年8月31日