~国際収支の平衡を達成するために~専門家の見方
人民元上昇圧力の緩和に向けて
資本勘定と金融勘定の黒字が拡大した原因をについて、同報告はまず、株式、不動産の市場価格が高止まり、資本流入を招いたことを挙げた。また、商業銀行などの金融機関が域外での資金調達規模縮小、内外金利差、国内の融資需要の増加などの影響を受け、内外の外貨建て資産を再配置し、対外証券投資を減らし、証券投資資金の流出が減少したことで、差し引きで投資資金の流入が増えたと説明した。さらに、人民元の上昇期待もこれら要素の奥に潜んだ原因であることは疑うべくもない。
対外経済貿易大学の丁志傑教授は、「(経常収支と資本収支が黒字という)双子の黒字がさらに進めば、人民元上昇圧力の緩和に努めなければならず、人民元の先高感を和らげるために新たな考え方や措置を導入する必要がある」と指摘した。丁教授は、為替レートの小幅で段階的な上昇が人民元上昇期待を強めるため、それに代えて比較的短期間に人民元レートを迅速に調整することも可能だと提言した。丁教授はまた、人民元の為替レート形成に関しても、市場的要素の作用を最大限発揮させるべきとした。このほか、資本勘定の開放を進めることの必要性も挙げた。さらに、経常黒字を緩和するためには、貿易構造を改めなければならないとした。それには産業政策の同調が必要だ。国内の産業政策をハイテク、サービス業中心とし、過去の対外貿易優遇政策を撤廃すべきだとした。