▽五輪マーケティングとメラミン事件
2008年、中国は北京五輪を盛大に迎えた。企業各社の五輪参加は主に、五輪マーケティングの形で行われた。北京五輪のスポンサーは各種のルートや活動を通じて五輪マーケティングを展開し、さまざまな効果を上げた。イプソスのデータによると、五輪マーケティングに最も成功したと中国人に考えられている3企業は順に、コカコーラ(19%)、聯想(15%)、中国移動(14%)だった。グローバル企業だけで見ると、コカコーラ(19%)、アディダス(8%)、VISA(7%)が名を連ねた。五輪マーケティングは各社各様の成果を上げたため、この比率は相対的に分散し、1社が圧倒的な印象を人々に与える結果にはならなかった。
中国企業も五輪マーケティングで大きな成果を上げたが、グローバル企業の五輪マーケティングのレベルの高さは人々が認めるものとなった。歴代五輪でのマーケディング経験を持つグローバル企業は、この分野のプロフェッショナルであり、系統化された活動で大きな効果を上げた。
五輪直後の9月11日にはメラミン汚染事件が発覚し、中国で名の知れた乳業ブランドはいずれもこの事件に巻き込まれた。グローバル企業はメラミン事件で大きな動きを見せなかったが、事件とかかわりがなかったことで、中国の消費者への影響力を急速に高めた。
経営コンサルティング「A.T.カーニー」の大中華区の副総裁を務める張天兵氏によると、グローバル企業の生産管理に対する中国消費者の信頼はメラミン事件をきっかけに大きく高まった。イプソスの調査データによると、メラミン事件でグローバル企業への信頼が増したという回答者は3割前後にのぼった。グローバル企業のブランドに対する態度は変わらないと答えた回答者は半数前後だった。
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