さらに中国はロシアと05年、ロシア製の大型機「Il-76」と「Il-78」を38機購入する契約を結んだが、ロシア側は納期を守らなかったばかりか、価格を20%引き上げた。大型機をめぐる一連の事件は、お金を出しても近代化を買うことはできないし、尊厳を勝ち取ることもできないということを示している。
国内の多くの航空メーカーはこれまで、ボーイング社とエアバス社の部品供給元だった。部品を作り出せるのに完成品を作ることはできないのは、エンジンなどのカギとなる分野での技術力が不足しているほか、資源をまとめて核心技術に取り組むためのプラットホームが欠けているためだ。この角度から考えると、大型機プロジェクトは、国内航空業の製造資源をまとめるチャンスとなる。散らばっていた資源が一つになれば、その力は自然と大きくなる。
国際金融危機が世界を席巻したことで、中国の大型機プロジェクトには絶好のチャンスが訪れた。国内の投資拡大の一措置として大型機投資を高めることができると同時に、海外の関連メーカーが困難に陥ったことは、以前よりも安い価格で生産設備や技術を獲得するチャンスを中国企業に与えている。
海戦の威力を倍増させるのは、艦隊の戦力をまとめる空母だ。中国の大型機プロジェクトもまた、航空工業の「空母」となることができるのではないか。筆者の考えるに、大型機プロジェクトの成敗を判断する基準は、大型機の製造や大型機メーカーの設立にあるだけではなく、産業クラスターを大きく発展できるかということにもある。(作者:李雲崢、編集MA)
「人民網日本語版」2009年3月25日
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