▽日本の教訓は適用できるか
日本経済は80年代、株式神話や土地神話を経験した。90年代にバブル崩壊を迎えてからは、10年にわたる経済低迷期に入り、03年にやっと回復が宣言された。世界経済に暗雲が漂い始めたことで、日本の経済低迷期を振り返り、日本が行った経済対策の経験と教訓を汲み取るべきだとの声が中国でも高まっている。
だが海野氏によると、中国と日本の経済構造は全く異なる。巨額の財政赤字は中国には存在しない。中国政府は刺激策として一度に4兆元を出した。輸出への依存度は日本よりも軽く、日本の経済対策の経験を中国に適用することはできない。
海野氏によると、中国経済は現在、金融危機よりも大きな問題に直面している。第一に三農問題(農業、農村、農民)、第二にインフレとデフレの共存だ。海野氏によると、中国特有のこれらの問題には適用可能な前例はない。中国は、産業構造の調整を加速し、さらなる資金と技術の導入に努力する必要がある。
▽BPO発展には長期的な視点を
ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を支援する企業の経営者である海野氏によると、中国のBPO産業は始まったばかりで、ほかの国に学ぶべきことがたくさんある。中国のBPO産業ではしばしば、安価な人材コストと賃貸料で海外と競争しようとする間違った姿勢が見られる。長期的で持続可能な発展という角度から考えれば、中国は、高い生産効率を利用して競争力を上げ、グローバル精神や豊かな歴史・文化を利用してBPOを発展させていく必要がある。
インタビューの最後に海野氏は、「中国に対する日本の民間の認識はまだ足りない。歴史的な原因もあり、両国の人々の間には誤解がある。経済規模第2位と第3位を誇る両国は、民間の交流と協力を増やすことによってこそ、誤解を徐々になくし、ウィンウィンを実現できる」と期待をこめたメッセージを語った。
「人民網日本語版」2009年8月7日
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