国産旅客機「新舟60」が航空機市場に投入されてからまもなく10年になるが、国内市場ではかつて冷遇されていた時期もある。そうした中で幸福航空公司は使用する航空機をすべて国産とし、中国民用航空市場の新たな局面を切り開いた。
今月15日午前11時6分、32人の乗客を乗せた「新舟60」が陝西省西安市の西安咸陽国際空港を飛び立ち、47分後に同省延安市の延安空港に着陸した。このことは、国産民間旅客機が国内航空路線に大量に投入されるという新局面が到来し、中国航空事業が新たな時代に突入したことを示している。
新舟60を使用する幸福航空有限責任公司は、中国航空工業集団公司、中国東方航空株式有限公司が2008年3月に総額10億元を投入して設立した新会社。幸福航空の楊尤昌董事長(会長)によると、幸福航空の市場ターゲットは飛行距離400キロメートルから800キロメートルの中距離路線で、定期便の地域ターミナルを拠点として中小都市にサービスを提供する。支線ルートを発展させるには、それにふさわしい航空機が必要だが、現在、国内の支線路線に使用される航空機は輸入機が大半を占めている。
国産航空機を使用して支線ルートを運営することが、幸福航空の最大の特徴だ。運営拠点は西安咸陽国際空港に置かれており、これは西安市の高い航空機研究開発能力を利用するためでもある。幸福航空は、中国航空工業集団公司が独自に研究、開発、生産したターボプロップ式コミューター機の「新舟60」や「新舟600」を初期段階の主力機と位置づけており、今後は段階的にターボファンエンジン搭載のコミューター機「ARJ21」の使用機数を増やしていくとしている。新舟60は国内で初めて中国当局による航空機の規格「CCAR-25」を踏まえて設計、生産、検証がなされたもので、中国が独自に知的財産権を備えたコミューター機だ。新舟600は新舟60を土台として研究開発された国産新型ターボプロップ式コミューター機で、現在は検証・テスト飛行の段階に入っており、年内にも航空許可証を取得して引き渡しが始まる見込みだ。実際に使用されるようになれば、幸福航空は今後の主力機として引き続き製造を依頼する予定だ。