中国交通建設集団の傘下企業である上海振華重工(集団)株式有限公司はこのほど、スペインのADHK社と総額22億ドルの海洋工業製品の販売契約に調印した。中国にとって過去最大規模の海洋工業製品の輸出販売契約となる。契約内容には海上自動昇降式油井掘削装置10基、陸上掘削機7台、クレーン船2隻などが含まれる。
今回の契約により、振華重工は世界の海洋工業製品市場への進出の第一歩を踏み出したことになる。またこの契約は中国の設備製造業界にとって過去最大規模の輸出契約でもあり、大型装置10基を一度に受注したのは今回が初めてのケースだ。
国際金融危機の衝撃を受けて、昨年10月以降、世界の水上運輸市場、物流市場は急速に情勢が悪化した。輸送量の減少などを受けて、国内・海外の港湾投資が減少し、新規プロジェクトが減少し、港湾設備や船舶などの需要の伸びが鈍化し、港湾物流業務が大幅に減少した。
振華重工は現在、世界最大の市場シェアをもつ港湾機械メーカーで、世界のコンテナクレーン市場に占めるシェアは78%に達するが、今回の危機による市場圧力をひしひしと感じていた。そこで「2つの脱走路」による発展戦略を制定した。第一に、伝統的な製品の分野では、港湾機械製品の科学技術含有量を増大させ、高い付加価値を備え、自動化された埠頭システムを打ち出して欧米市場に参入するとともに、国内・海外の中小規模港湾のニーズに対応した製品の開発を進める。第二に、新しい製品の分野では、チャンスをとらえて海洋重工業産業への進出を加速させる。これまでに振華重工が製造した4400トン級の世界最先端のパイプ敷設船はすでに進水式が行われ、8千トン級の世界最大のクレーンはすでに数段階に分かれた製造工程がスタートしている。
実際のところ、振華重工が伝統的な製品の製造を維持すると同時に、ハイテク技術の含有量が大きく、付加価値が高く、市場ニーズの見通しが明るい海洋プロジェクト設備や液化天然ガス(LNG)などの分野に進出するのは、金融危機下の中国企業が産業構造の調整を加速させる上での「朗報」だといえる。税関がまとめたデータによると、今年上半期の中国海洋石油プラットフォームの輸出額は3億6千万ドルに達し、前年同期比1606.73%増加した。
海洋プロジェクト市場の年間投資額は今後、3千億ドルから4千億ドルに達する見込みで、コンテナクレーンの市場規模の100倍に相当する。海上石油採掘、海上風力開発などの分野では、いずれも大量の海上プロジェクト設備が必要だ。これまでに中国船舶工業株式有限公司、中国船舶重工集団公司、招商局集団有限公司などの国内有名企業が海洋工業分野に進出を果たしている。
「人民網日本語版」2009年8月31日