誰しも自分の部屋をもつことを夢見るものだが、今や人々は部屋の「しもべ」や「奴隷」に成り下がっている。過去1年間に各都市で不動産価格が上昇を続けたことにより、国内では極めて狭小な住宅「蝸居」の問題がクローズアップされるようになった。「蝸居」はまた、このたびの金融危機に際して世界中で共通にみられるようになった現象でもある。
日本では、金融危機の打撃を受けて大都市で生まれた多くの失業者や失業の危機にさらされる「蟻族」(大卒フリーター)たちが、体を伸ばすこともできない「カプセルホテル」で暮らすことを余儀なくされている。この「ホテル」の部屋は冷蔵庫を横に置いたくらいの広さしかなく、米紙「ニューヨークタイムズ」は「棺桶ほどの広さしかない」と報じた。ある報道によれば、日本には今、1万5800人のホームレスがおり、職を失った元サラリーマンたちが、会社の提供する住宅に住み続けることができなくなったり、部屋を借りる資金がなかったりして、徐々にホームレス化しているともいう。カプセルホテルは狭いが、多くの失業者にとって行くところがないよりはマシだといえる。満足はしていないが、まあ我慢ができるということで、カプセルホテルは東京圏で大繁盛だ。