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高速道路は鉄道に取って代わるか?
発信時間: 2010-02-24 | チャイナネット

中国が高速道路の建設に力を入れていた時期、鉄道は時代遅れという説がもてはやされた。

これは、自動車時代の到来に伴い、自動車が多くの家庭に入り高速道路が四方八方に建設されれば、人々は第一に高速道路を利用するため昔ほど鉄道は必要なくなるという観点だ。道路交通は鉄道より便利で、ドアからドアへと直接アクセスできるというのがその理由だ。

この観点にはさらに強い論拠がある。それは当時米国など先進国の鉄道の旅客輸送量はすでに減少し始め、一部の地方では鉄道を撤去する場所も出ていたからだ。将来的に中国も鉄道を撤去するのなら、今高速道路を重点的に建設すればいいのでは?さらに重要なのは、多くの地方が鉄道よりも高速道路の建設に積極的に乗り出したことだ。なぜなら高速道路は地方経済へのけん引作用が鉄道よりも大きい。高速道路沿線では不動産取引など投資が活発になる。沿線に住む市民にとっても、高速道路は電車よりもメリットが大きい。例えば、自動車には渋滞が避けられない。渋滞になれば、周辺の農民は農業副産品を売って増収につなげることができる。鉄道沿線だとそうはいかない。このため高速道路の建設は鉄道よりも支持されるのだ。

時間が経つのは早いもので、10年20年はあっと過ぎてしまう。ほぼ1世代の努力の末、中国はすでに全国に高速道路のネットワークを形成し、その規模は米国に迫っている。高速道路の建設は確かに各地の経済に大きく、何ものにも代えられない推進作用を果たした。

ところが、当時言われたように高速道路の急発展とともに鉄道が没落することはなかった。中国では鉄道を撤去するどころか、高速道路が大きく発展した20年後に再び鉄道、特に高速鉄道の建設ラッシュが始まった。

どうして国外の経験が中国では適用できないのか?その答えは「国情」にある。今から考えると、当初高速鉄道建設を支持し、鉄道建設を否定した一派の意見は確かに米国の状況といえるが、単に米国の現在を見て中国の将来を推測するのは簡単すぎるだろう。なぜなら中国の人口は米国の4-5倍、4輪自動車は米国は運べても、中国を運べるとは限らない。

中国という人口13億人の大国は毎年春運(旧正月期間の帰省ラッシュ)だけで米国の人口の数倍を輸送しているのだ。中国の交通は1種類の交通手段だけで独立して解決することはできない。中国では様々な交通手段を使ってその特徴を生かしながら春運のような大量輸送をこなさなければならない。

高速道路から高速鉄道に建設の重点を移行することは中国にとって不可欠なことだ。中国の鉄道は撤去どころか、今後も輸送の主役を担っていくだろう。鉄道は道路ほど便利ではないが、その巨大な輸送力と極端な気候への対応能力は他の交通手段とは比較にならない。

米国を車のタイヤの上の国に例えるなら、米国の輸送問題は4つのタイヤで解決できるが、中国は恐らくたくさんのタイヤを一緒に動かして問題を解決するしかない。どの交通手段が優れているかどうかを議論する必要はない。中国は世界の5分の1の人口と世界第2の経済規模を有するのだから。

「人民網日本語版」2010年2月24日

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