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japanese.china.org.cn |01. 06. 2021 |
中国映画市場コロナショックから生還、世界第1位に
―2020年中国都市映画館・劇場消費指数ランキング―
周牧之 東京経済大学教授
編集ノート:世界映画市場は2020年、新型コロナウイルスパンデミックで大きな打撃を被った。しかし中国は同年、北米を抜いて世界最大の映画市場となった。『八佰』をはじめとする多くの中国映画が世界の映画興行ランキングで上位にランクインした。なぜこのようなどんでん返しが可能となったのか?中国で最も映画好きな都市は?中国で最も映画にカネを掛ける都市はどこか?東京経済大学の周牧之教授が詳細なデータを使い解説する。
1.中国映画マーケットが世界第1位に
新型コロナウイルスパンデミックで最も打撃を受けた分野の1つは映画興行であった。中国では、2020年の映画興行収入が前年比68.2%も急落した。だが幸いなことに、中国では新型コロナウイルスの蔓延を迅速に制圧したことで、映画市場は急速に回復した。
一方、これまで世界最大の興行収入を誇ってきた北米(米国+カナダ)は、新型コロナウイルスの流行を効果的に抑えることができず、2020年には映画興行収入が前年比80.7%も急減した。
その結果、世界で最も速く回復した中国の映画市場が、映画興行収入で世界トップに躍り出た。
2021年の春節(旧正月)、昨年同期間のロックダウンに取って代わり、中国の映画興行収入は78.2億元(約1,329億円、1元=17円で計算)に達し、同期間の新記録を樹立した。また、世界の単一市場での1日当たり映画興行収入、週末映画興行収入などでも記録を塗り替えた。
中国の映画市場は今、勢いよく回復している。
2.中国都市映画館・劇場消費指数2020年ランキング
雲河都市研究院は、〈中国都市総合発展指標〉を元に、中国全国297都市を対象とした「中国都市映画館・劇場消費指数2020」を公表した。
2020年、中国全国297都市のうち、「映画館・劇場消費指数」の上位10都市は、上海、北京、深圳、広州、成都、重慶、杭州、武漢、蘇州、西安となっている。これら10都市は、中国全土における映画興行収入の28.9%、映画鑑賞者数の32.1%、映画館・劇場数の21%を占めている。つまり、上位10都市で全国の映画興行収入と映画入場者数の3分の1近くを占めている。
「映画館・劇場消費指数」の第11位から第30位の都市は、鄭州、南京、長沙、東莞、天津、仏山、寧波、合肥、無錫、瀋陽、昆明、青島、温州、南通、南昌、長春、石家荘、ハルビン、済南、南寧となっている。
上位30都市は、映画興行収入の53.9%、映画鑑賞者数の51.3%、映画館・劇場数の39.3%を占めている。つまり、297都市の10分の1に過ぎない上位30都市が、映画興行収入と映画入場者数の半分を占めている。
「中国都市映画館・劇場消費指数2020」からは、さらに次のような都市と映画の関係が見えてくる。
中国で映画興行収入の最多都市:映画興行収入の上位10都市は、上海、北京、深圳、広州、成都、重慶、杭州、武漢、西安、蘇州である。
中国で映画鑑賞者数の最多都市:映画鑑賞者数が多い上位10都市は、上海、北京、成都、広州、深圳、重慶、武漢、杭州、西安、蘇州である。
中国で最も映画好きな都市:一人当たりの映画鑑賞回数が多い上位10都市は、深圳、珠海、海口、杭州、南京、長沙、武漢、広州、上海、西安である。
中国で最も映画におカネを掛ける都市:一人当たりの映画興行収入の上位10都市は、深圳、北京、上海、杭州、珠海、広州、南京、海口、長沙、ラサである。
特に注目すべきは、中国では新型コロナウイルスパンデミック下も、スクリーン数や映画館数が減るどころか増えていたことである。中国のスクリーン数は、2005年の2,668枚から2020年には75,581枚へと、28倍にもなった。
2019年10月から2021年5月にかけて、全国297都市のうち、203都市で、映画館の数が増加した。その中で、映画館数が最も増えた上位10都市は、成都、蘇州、広州、武漢、鄭州、常州、保定、北京、杭州、石家荘となっている。逆に、映画館数が減った都市も38あり、減少数が多いのは四平、台州、九江の3都市であった。
その結果、中国全土の映画館数はこの期間に826館も純増した。