3.中国で最も映画興行収入が多かった都市は?
〈中国都市総合発展指標〉に基づき、雲河都市研究院は中国全297地級市以上の都市(日本の都道府県に相当)をカバーする「中国都市映画館・劇場消費指数」を毎年モニタリングしている。
『中国都市総合発展指標2021』で見た「中国都市映画館・劇場消費指数2021」ランキングのトップ10都市は、上海、北京、深圳、成都、広州、重慶、杭州、武漢、蘇州、長沙となっている。長沙が西安を抜いてトップ10入りを遂げた。同ランキングの上位11〜30都市は、西安、南京、鄭州、天津、東莞、仏山、寧波、合肥、無錫、青島、瀋陽、昆明、温州、南通、南昌、福州、済南、金華、南寧、長春となっている。
ゼロコロナ政策で市民生活を取り戻したおかげで、映画観客動員数において、同トップ30都市は、軒並み2〜3桁台の高い回復力を見せた。結果、映画観客動員数は中国全土で前年度より倍増した。
図32021中国都市映画館・劇場消費指数ランキング トップ30
出典:雲河都市研究院『中国都市総合発展指標2021』より作成。
4.特定都市に集約する映画館・劇場市場
「中国都市映画館・劇場消費指数2021」を構成するデータを分析することで、映画館・劇場市場の特定都市集中の実態が見えてくる。
映画館・劇場数について、「中国都市映画館・劇場消費指数2021」ランキングのトップ5都市が全国に占める割合は12.6%、トップ10都市は20.9%、トップ30都市は39.4%となっている。つまり、上位10都市に全国の映画館・劇場の5分の1以上が立地し、297都市内の上位30都市に、40%弱が立地している。映画館・劇場の集中度は、前年と比較してもほとんど変化していない。
図42021中国都市における映画館・劇場の集中度
出典:雲河都市研究院『中国都市総合発展指標2021』より作成。
映画館・劇場観客者数について、「中国都市映画館・劇場消費指数2021」ランキングのトップ5都市が全国に占める割合は16.9%、トップ10都市は27.4%、トップ30都市は48.9%を占めている。つまり、上位10都市に全国の映画館・劇場観客者数の3分の1近くが集中し、上位30都市に半分以上が集中している。
周牧之教授は、「映画館・劇場数と比較して、観客者数の特定都市への集中度は、より顕著となっている。なお、映画館・劇場観客者の集中度が僅かながら前年より低下したことは、地方都市での観客者増ゆえと見られる」と指摘する。
図52021中国都市における映画館・劇場観客者数の集中度
出典:雲河都市研究院『中国都市総合発展指標2021』より作成。
映画館・劇場興行収入について、「中国都市映画館・劇場消費指数2021」ランキングのトップ5都市が全国に占める割合は19.7%、トップ10都市は30.1%、トップ30都市は51.1%を占めている。つまり、上位10都市に全国の映画館・劇場観客者数の3分の1以上が集中し、上位30都市に半分以上が集中している。映画館・劇場興行収入の集中度も、前年よりわずかに低下している。これについて白井衛会長は、「観客数や興行収入の都市部への集中度をみてもトップ30の都市部の比率が下がり、地方都市での観客数が確実に増えてきているのを如実に反映している。これは、今後の映画市場拡大に大きな期待が持てる」とコメントした。
図62021中国都市における映画館・劇場興行収入の集中度
出典:雲河都市研究院『中国都市総合発展指標2021』より作成。