経済成長率の低下に伴い、「内巻」が中国の流行語になっている。この言葉は、激しい内部競争及び持続的な努力にも関わらず、その見返りが減り続ける流れを意味する。これはテック分野で特に顕著だ。チャレンジングな環境に対応するため、中国のテック企業は国際市場へのシフトを増やしている。米サイト「The Diplomat」が伝えた。
アリババ、テンセント、バイトダンスなどのIT大手は海外展開のリーダーで、米国、東南アジア、欧州、その他の地域に進出している。彼らの戦略には、既存の製品及びサービスの輸出の他に、現地の需要を満たすためカスタマイズされた製品やサービスが含まれ、かつ新市場の監督管理制度を遵守する。この海外展開戦略には、新たな成長の道を切り開き、かつ中国市場の制限及びリスクを和らげるという2つの目的がある。
米国市場を例とすると、中国のアプリにこの流れが見える。注意すべきは、米国でダウンロード数トップ5のアプリのうち、Temu、TikTok、CapCut、Sheinの4つが中国産であることだ。
中国テック企業の海外展開は、その適応力と野心を証明した。これは彼らが国内の競争の圧力から脱却しようと取り組んでいることの現れで、かつ世界のテクノロジーの舞台で頭角を現す願いを浮き彫りにしている。
EC大手のアリババは戦略的に事業拡大に取り組み続けており、特に東南アジアと欧州に力を入れている。この事業拡大はそのEC、クラウドコンピューティング、AIのコアコンピタンスを利用している。同戦略の重要なマイルストーンは東南アジアで有名なECプラットフォームであるLazadaの買収と、欧州各地でのデータセンターの設立だ。これらの措置は世界のECのリーダーになろうとするアリババの野心をはっきり示している。
またソーシャルアプリの微信(WeChat)で世界的に有名なテンセントは、別の海外展開の道を歩んでいる。テンセントは直接市場に入るのではなく、海外のテック企業及びゲーム会社への投資に専念している。テック企業のSnap、ストリーミングサービスのSpotify、多くのゲーム会社への投資は、テンセントが多元的で安定的な海外投資リストを構築しようと取り組んでいることを証明している。
アリババとテンセントの戦略からは、中国のテック企業が国内市場の挑戦を和らげ、国際市場のチャンスを掴むため異なる道を選んだことが分かる。収入源と市場の多様化は、彼らの国レベルの大手から世界の主要な競争者への変化を示した。
2023年6月にアフリカで開催されたGITEXにおいて、世界の大手は競うようにして自社製品を展示し、この新興市場のパイを得ようと試みた。注意すべきは、中国のファーウェイとレノボが最大の展示エリアを確保したことで、これはそのアフリカ市場への重視を十分に示している。特にファーウェイの展示ブースは活況を呈した。
別の注目すべき例は伝音だ。この本社を深セン市に置く企業はグローバルサウス市場、特にアフリカに専念している。伝音はアフリカの携帯電話市場で大成功しているが、これはリーズナブルな製品、アフリカユーザーのためにカスタマイズされた機能によるものだ。
ファーウェイと伝音の例は、中国テック企業が製品を販売するだけでなく、現地市場に浸透していることを示した。彼らはこれらの市場の需要への深い理解と、それに応じて戦略を調整する能力を見せつけた。この戦略により彼らがアフリカ市場に根ざし、同水準の世界テック大手に挑戦していることは事実によって証明済みだ。
「内巻」の国内環境を受け、中国テック企業の海外展開への戦略的なシフトは、中国のテクノロジー発展の重要な時を浮き彫りにした。これらの企業の多元的な国際市場での成功は、彼らが国内の不利な要素を克服する能力があることを証明しただけでなく、その世界のテック分野における日増しに拡大する影響力を浮き彫りにした。海外展開は中国テック企業がより有力なグローバル企業になる流れの象徴かもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月11日