1週間の第90回パリモーターショーが20日、閉幕した。出展した自動車ブランドは48社。ベンツと日本製が欠席したが、中国ブランド9社が登場し、総数の約5分の1を占めた。EUが中国製電気自動車(EV)に間もなく追加関税を導入する背景があり、中国の展示ブースが特に注目された。複数の欧州自動車大手のCEOはモーターショーのスピーチで、EUの中国製EVへの追加関税を批判し、中国の競合他社に学ぶよう欧州自動車メーカーに呼びかけた。
本モーターショーはEVに焦点を絞った。BYD、零跑、小鵬、賽力斯、広汽集団、東風風行、紅旗、上汽大通、創維汽車の中国ブランド9社が集まった。
独紙「ハンデルスブラット」の報道によると、中国自動車メーカーはEUからの追加関税に直面しているが、欧州市場を着実に開拓している。広汽集団は欧州で生産拠点を設立すると発表した。BYD、奇瑞、零跑などの6社以上の中国EVメーカーも同じような計画を立てた。中国ブランドのEUにおけるEV市場シェアは、5年前であれば1%未満だった。ブリュッセルの環境団体トランスポート&エンバイロメントの発表によると、2023年にこの割合は8%に上がっており、今年は12%に上がる可能性がある。欧州への輸出は、中国自動車メーカーの業界成長戦略の軸だ。
仏紙「ル・パリジャン」は、「欧州自動車産業は歴史的に重要な時期を迎えている。産業は未曾有の挑戦、特にアジアの競合他社からのショックを迎えている」と論じた。また欧州EV市場には懸念すべき冷え込みの傾向が見られる。市場研究機関「Rho Motion」が15日に発表した報告書によると、今年1−9月のEU、欧州自由貿易連合、英国市場でのEV販売台数は前年同期比4%減の220万台だった。
欧州のEV産業が遅れ、保護貿易政策の実施が加わり、現在の状況をさらに悪化させることは間違いない。ルノーのルカ・デメオCEOはこのほど、「EVの需要減により、欧州自動車産業は150億ユーロの炭素排出罰金に直面する可能性がある。2025年までにEUはCO2排出目標を引き下げることになる」と述べた。デメオ氏は、「EVの増加率は目標達成に必要なペースの半分のみで、業界は巨額の罰金を支払うか生産を250万台減らすことを余儀なくされる恐れがある」と警告した。
現在の市場の大きな流れを受け、欧州内部でも競争と自身の問題を直視し、かつイノベーション力によりブレイクスルーを目指すよう訴える理性的な声が増えている。仏経済学者のエマニュエル・ガンビー氏は、「効果的な解決策を出すためにはまず、正確な診断が必要だ。欧州のEV市場におけるシェアが足りないならば、中国からの輸入が真っ先に問題になるべきではない。重要な原因は内部の問題だ。欧州はイノベーションにスムーズに投資できておらず、コストの競争力にも不足がある。中国製EVへの課税は大きな幻で、外にスケープゴートを求めても重要な問題を解消できない。そのため輸入品に課税する間接的な手段ではなく、この問題に直接対応するべきだ。製品がより革新的で、手続きがよりフレキシブルで、内部市場がさらに一体化された欧州が必要だ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年10月21日