米国は10月14日より中国籍船舶に対する「入港料」の徴収を開始する。これは海運問題を政治問題化し、外交カードとして利用する行為だ。これを受け、中国国務院は9月29日に「中華人民共和国国際海上輸送条例」の改正に関する決定を発表し、差別的措置を講じる国・地域に対して対抗措置を発動する方針を明文化した。
経済面から見ると、米国の目的は中国船舶の米国寄港のコスト上昇により、国際的な貨物輸送の構成図を再編し中国の国際競争力を下げることにある。しかし事前の公聴会では、農業、エネルギー、小売、港湾、製造業などの数百社が「輸入コスト増」「輸出競争力の低下」「サプライチェーン不安定化」などの懸念を示し、明確に反対を表明している。さらに米海運業界は、港湾インフラの老朽化や人件費高騰、閉鎖的な物流システムといった構造問題を抱えている。香港や寧波などの中国の港が持つ効率的なネットワークなくしては、国際物流システムとの連携維持は不可能だ。中国船への徴収は米輸入業者のコスト増を招き、最終的に消費者の負担となるだろう。
国際海運はグローバル化が最も進んだ産業の一つであり、その運営は政治や対立ではなく効率性と国際ルールに依存している。「入港料」導入による既存のコストバランス崩壊は、航路構造の再編を必然的に引き起こす。多くの企業が中継港経由による課税回避を検討しているが、この迂回は短期的に輸送費高騰と納期遅延をもたらし、米港湾の競争力を下げるに違いない。長期的には、海運資源と発注案件がアジア等へシフトする結果、米国の国際物流システムにおける機能低下を招くおそれがある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年10月10日
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