中国の大規模言語モデル(LLM)を活用し業務効率を高める人が海外で増えている。モデルによる毎回の対話は「トークン(Token)」と呼ばれるデジタル資源を消費する。トークンはAIが人間の言語を理解するための最小単位だ。
現在のLLMは、一度に処理できる文字数に限りがある。例えばユーザーが文章を入力しモデルが回答を生成する場合、入力と回答の合計トークン数は一定の上限を超えてはならない。AIツールは利用したトークン数により費用を出す。通話料のように、入出力する文字数が多いほど費用も上がる。
データによると、中国の今年3月の1日平均トークン呼び出し量は140兆を突破し、2年間で1千倍以上に増加した。各機関の最新の統計によると、中国産LLMは世界のトークン呼び出し量でリードしている。
世界のユーザーはなぜ中国産LLMを選ぶのか。稀宇極智(MiniMax)の厳奕駿副総裁は、「第一に、モデルが十分にスマートで使いやすく、迅速に応答し、複雑な問題を確実に解決できるかどうか。第二に、価格が合理的で持続可能かどうか。中国産LLMは、世界中のユーザーに認められているから高頻度で利用されているのだ」と回答した。
LLMにとって、「よりスマート」と「より低価格」の両立は容易ではない。モデル性能の向上は多くの場合、パラメータ数の指数関数的な増加を伴うが、それはより多くのトークンの消費を意味する。トークン消費量が増えるほど、企業の運用コストとユーザーの利用コストが高騰する。
ではどのようにバランスをとるのか。厳氏は「MiniMax M2.5」モデルを例に説明した。「我々はアルゴリズムの革新により、モデルがより効率的で簡素な推論経路で答えに到達できるようにし、最初の段階からトークン消費を削減している。その一方で、1トークンあたりの価値を高めることに取り組んでいる」とした。毎秒100トークンを出力する高効率なスループット環境下で、同モデルを1時間連続稼働させても費用はわずか1ドルで済む。ある機関の試算では、同程度の性能であれば中国製モデルの利用コストは米国製の約10分の1にとどまる。
復旦大学経済学院の李志青教授は、「コスト削減は、中国産LLM企業による技術進歩の結果であるだけでなく、中国の電力とサプライチェーンの優位性の現れだ」と指摘する。中国には豊富な応用シーンが存在し、LLMの反復的な進化に向け実験の場を提供し続けている。ユーザー数の急増によって、AIはインターネット上からオフィスの連携や工業デザインなどより深いシーンへの進出を加速し、技術のお試し利用から日常的なツールへと変わっている。応用の浸透率が高まることで、モデルの反復的な進化にデータフィードバックを提供し続け、複雑なタスクを処理する能力を高め、将来の発展に向けた余地を広げている。
AIの行き着く先は電力だ。李氏は「AIサーバー1台の消費電力は従来型サーバーの5~8倍に達し、LLMの学習には数億キロワット時の電力が必要となる。1日の運用消費電力は50万キロワット時を超える。電力コストは、コンピューティング産業の世界的な配置にとって極めて重要だ。これはまさに中国の強みだ。中国は世界最大規模の電力供給システムを有し、特高圧送電網や再生可能エネルギーの消費メカニズム、全工程で自主的に制御可能な電力技術が組み合わさることで、中国の計算能力は安定し、かつコスト力を持っている」と説明した。
江蘇省南京市にある国電南瑞科技股份有限公司は、この電力の重要な拠点の一つだ。電力系統の運用・制御を支える技術プラットフォーム上では、リアルタイムの電力量が明確に可視化されている。西部ゴビ砂漠の風力発電、青蔵高原の太陽光発電など、低価格で豊富な再生可能エネルギーとグリーン電力が独自開発の多階層スマート制御システムによって調整され、東部の計算能力拠点へ効率的に送電されている。責任者は「西部はグリーン電力の供給量が多いが蓄電が難しく、東部の計算能力センターは電力需要が大きいがコストが高い。スマートな調整によって、余剰グリーン電力と計算能力の電力不足を正確にマッチングできる」と述べた。
李氏は「さらに、AIサプライチェーンの充実が業界全体のコストを一層引き下げている」と話した。AIチップ、サーバー、コンピューティングインフラ、国際ネットワーク、エッジコンピューティング、国際決済など各分野が相乗効果を発揮することで、バリューチェーン全体に渡る優位性が構築されている。
協力がもたらす効果はどれほどか。李氏の分析によると、従来型の場合、1キロワット時の電力は通常その1~2倍の価値を生み出すが、トークンならば消費電力の数十倍、時には数百倍の価値を生む。「すでにエネルギーと製造業の優位性を世界に届くデジタル価値に転換し、電力と計算能力は国内で構築されて、価値は海外へという状況を実現している」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年3月31日
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