かつて「北京原人」の頭蓋骨が見つかって国内外で有名になった世界文化遺産の周口店遺跡で24日、1937年に大規模な発掘を中止して以来、72年ぶりに遺跡の心臓部にあたる第1地点で保護を目的とした発掘が始まり、再び注目を集めている。
1918年に周口店遺跡が発見されて以来、保護を目的とした発掘は今回が初めて。
今回の発掘を指揮する、中国科学院の古脊椎動物・古人類研究所の高星・副所長は、「第1地点は周口店遺跡群の中でも最も重要な場所にあたり、これまでに出土した代表的な40以上の、直立人化石や大量の石器、哺乳動物の化石、火を使った跡が見られる遺跡はすべてここから発見されたものだ。東アジアの人類の起源と直立人の進化を研究する上で、他にはない地位と役割を持っている」とし、「第1地点は猿人洞の崩落後、唯一きれいに残った、代表的かつ科学的価値の高い堆積体で、この遺跡の心臓とも言える。きれいに保存された地層や豊富な科学材料・情報は考古発掘と科学研究の核心部分であり、周口店遺跡の最も重要な保護対象でもある」と紹介する。
周口店遺跡管理処の楊海峰主任は「最近、第1地点の西壁に崩落の危険性が出てきた」と紹介。西壁の上部にひび割れなどが見られるという。壁の下部はほぼ空洞となっており、重力の作用でいつでも崩落する危険性がある。一旦崩落すれば、現存する壁がもっと破壊されてしまうのは必至だ。「このため第1地点の壁を保護するために急きょ発掘する必要がある」と指摘する。
今回の発掘が発表されるや否や、「どうしても『北京原人』の頭蓋骨を掘り出したいのか?どうして貴重な文化遺産を子孫に残さないのか。将来、科学技術が更に発達するまで待てないのか?」といった疑問の声が多くあがった。
これに対し、高星氏は「今回の発掘は人類の化石を探すのを第一の目的とした主体的な発掘ではない。遺産の保護を目的とした、遺産の保護計画に合わせて実施される考古活動だ」と説明した。「今回の発掘は一部のメディアが報道するような『大規模な発掘』ではなく、有限的かつ局部的な発掘および切断面の保護だ。国家文物局が認可した面積は20平米ほどで、実際の発掘面積となるとさらに小さくなる」と述べた。(編集KA)
「人民網日本語版」2009年6月25日