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japanese.china.org.cn |22. 10. 2024

神秘の大峡谷越えて出会う少数民族の熱いおもてなし

タグ: 民族
人民中国  |  2024-10-22

 山奥の味わいを堪能 

恩施の地質学的奇観を堪能するには、体力が試される。この豊かな土地は、壮大な自然景観だけでなく、独自の美食文化をも育んできた。1日のハイキングを楽しんだ後は、独特なトゥチャ族の料理を味わうのが最高の楽しみになる。 

恩施の食文化は独特で、注文のスタイルから他とは一線を画している。まず、主菜を一品注文すると、「合渣フージャー」と呼ばれる鍋料理一つと、たくさんの小皿料理が一緒に提供される。小皿料理の量は多くないが、種類が非常に豊富で、テーブルがにぎやかに彩られる。さらに、食べ終わったらおかわりができるのも特徴だ。これらの中でも合渣は恩施のトゥチャ族料理を代表する一品である。 

合渣は、大豆と肉野菜を使って作られた料理で、濃厚な味わいが特徴で、健康にも良い。まず、水に浸した大豆を石臼ですりつぶして豆乳を作り、その豆乳に水を加えて鍋で煮る。次に、細かく刻んだ野菜と肉を加え、再度煮立てると、緑がかった乳白色の合渣が出来上がる。「この地方には『辣椒(トウガラシ)は塩の代わり、合渣はお正月のごちそう』という言葉があります。合渣は私たちにとって特別な料理なんですよ」と、店主の秦さんが教えてくれた。このシンプルな一品は、豆の香りと肉の香りが絶妙に調和しており、クリーミーな食感は麻婆豆腐に少し似ている。これを白米にかけて食べると、一口また一口と、箸が止まらなくなるのだ。 

トゥチャ族料理の豊富なメニューを前にどう注文していいか分からず迷っていた私たちに、秦さんは「恩施の臘肉ラーロウはぜひ試してみるべきだ」と薦めてくれた。彼によると、臘肉は恩施の家庭料理の定番で、鉄道が開通する前、恩施は出入りが難しい場所だったため、山の住民たちは食物を貯蔵する習慣があった。その中でも、最も一般的なのが肉の薫製であり、食物の保存期間を延ばすために行われていた。恩施では、魚、豚肉、豚と牛のひづめ、ソーセージ、兎肉、鴨肉、豚の肝など、あらゆる肉が薫製にされる。いぶされ、焼かれた臘肉は、濃厚な香りを放ち、極上の味覚のご褒美となる。 

臘肉の食べ方の一つとして、「広椒」という調味料(トウモロコシ粉にトウガラシを加えてつぼで発酵させたもの)と一緒に炒める料理がある。酸味と辛味が絶妙に混じり合い、薫製肉の独特の香りが立ち、トゥチャ族のご飯のお供として最高の一品だ。 

恩施の「ガチ料理」を堪能したら、朝の「過早グオザオ(朝食を食べる)」体験も逃してはならない。「過早いかが~熱々の豆皮だよ~!」。街頭の露店商の売り声が早朝の静けさを破り、道行く人々を誘う。 

「湖北ファミリー」の一員である恩施の人々は、省都武漢市の人々と同じように朝食を食べることを「過早」と呼ぶが、武漢とは異なり、恩施の過早の主役は熱乾麺(こってりソースを絡めた麺、武漢を代表するグルメ)ではない。「恩施の過早には二つの宝――豆皮と油香が欠かせない」と言われるように、この味を求めて、恩施の人々は朝早く起きては過早に出掛けていく。 

恩施の「豆皮」は一風変わっている。豆皮と聞いて北方の人々が思い浮かべるのは、薄く平らに延ばした干し豆腐で、「京醤肉絲」(細切り豚肉のみそ炒め)を巻いて食べるのが一般的。南方の人は、肉のあんを包んで食べる中国風湯葉を思い浮かべるかもしれない。一方、恩施の「豆皮」は、見た目は麺のようで、食感は麺よりも少し弾力がある。米をすりつぶしてのり状にし、そこにジャガイモのデンプンや緑豆、トウモロコシ粉を加え、平たく形成した後に細切りにしたものだ。朝食にさまざまな「臊子サオズ」(麺にかける具材)をかけた豆皮を注文し、さらに「油香」(具入り揚げパン)を添えれば、口も胃も満たされ、元気な一日のスタートを切ることができる。 

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