「中国環境緑書」と呼ばれている「中国環境の危機と転機(2008)」がこのほど、社会科学文献出版社によって正式に出版された。緑書は、環境保全にとって曙光がほのかに見えてはきたが、在来の経済成長形態の大きな慣性や生態変化の逆転できない性格および地球温暖化などの全世界的な悪影響によって、一部の地方では、汚染物の排出総量がすでに環境の受容力を上回っていることで、生態回復と環境保全の前途は楽観視できないとしている。
省エネと排出削減の受動的局面を転換させる肝心な年であった2007年には、単位GDP当たりのエネルギー消費量は前年同期と比べて3%ぐらい下がり、二酸化硫黄と化学的酸素要求量の排出が数年つづいて増えていた動きは変わり、数年ぶりの低下が見られ、下降幅はそれぞれ1.8%と0.28%だった。
だが、環境保全の情勢は楽観視できない。調べによると、これまで全国で河川の3分の1、主要な湖の75%、沿海水域の25%は汚染が深刻になっている。また、1万7000の都市と町には汚水処理施設がなく、約10億人の排泄物がほとんど収集と処理を経ていない。中国社会科学院の経済学部課題グループが、1995年から2005年までの中国の工業化状況を研究したところ、中国は「工業化の中期の後半段階」にあり、多くの地区の環境汚染と生態破壊の程度がすでに現地の受容力をはるかに上回っていると結論付けた。また、環境保全に取り組む人の中には「中国経済は急速に先進国に近づいているが、環境状況は世界の最も貧しい国に似ている」と言う人もいる。
一方、地方の環境保全部門では、法律の執行力が欠如しているという問題もある。その原因は、法律執行者の素質が十分でないほか、最も主な原因は、地方政府が関与することと法律を執行する環境保全部門の権限が小さいことにある。
これらの障害を根絶するには、関係者は「法律執行者の法律意識を向上させ、環境保全における地方政府の責任を強化し、具体的に実施できる責任追究制をつくり、現行の環境保全に関する法律・法規を改定し、環境保全部門の法律執行の権限を拡大するとともに、それに一定の強制執行権を与えるべきだ」と指摘する。
「北京週報日本語版」2008年4月2日 |