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中国企業の海外展開と日本 |
発信時間: 2008-03-26 | チャイナネット |
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中国企業の対日展開は、まだ数えるほどしかありません。2005年末時点で、中国の対日投資残高は日本の対中投資残高のほぼ240分の1の規模との研究発表があります(注3)。ただ、2007年には、環境保護ソリューション(排煙脱硫、汚水処理など)の大手企業である「中国博奇環保科技有限公司」が東京証券取引所第一部に中国企業として初めて上場(注4)するなど、M&A方式が多かった中国企業の対日展開に新しい足跡が刻まれました。中国には海外上場予備軍が多数存在しており、今後、日本で上場し、そこで得た資金を日本企業とのビジネス連携(M&A、資本・経営参加、技術協力など)に活用する中国企業が増えてくるでしょう。 戦略的互恵関係の発展のために 筆者は、日本の各地で中国経済に関する話をさせていただく機会が多いのですが、まだ、中国を生産拠点、販売先と見ている方がほとんどです。 中国の商務部(商業省)は、海外展開の少ない中小企業を支援するため、海外に「経済貿易合作区」の設立を積極的に推進する姿勢にあります。海外に中国企業の進出拠点を構築するという大胆な発想で、2007年2月のザンビアでの「合作区」の除幕式には、胡錦涛国家主席が参加するほどの力の入れようです。すでに8カ所の「合作区」を認定しており、行く行くは50カ所まで拡大する計画です。 当面、中国企業が競争力を持つ東南アジア、アフリカ、ロシアでの設立を目指すとしていますが、欧州や中東などでの設立に意欲的な中国企業も少なくないとのことです。中国企業の対外展開が国家戦略として本格始動し出しつつあるわけです。 日中両国が目指す戦略的互恵関係を構築する上からも、中国側にはこの「合作区」の対日展開を企画・推進し、また日本側(特に地方)には積極的にその誘致を図る時代の到来を望みたいものです。 (日本貿易振興機構海外調査部主任調査研究員 江原規由)
注1 2006年末時点、中国の対外直接投資残高(172カ国・地域)は906億3000万ドルで同期間の対内直接投資残高(6837億ドル)の13.3%。内訳は、採掘、商務サービス、金融、小売分野が全体の7割、株式投資が同4割強、再投資が同4割弱。 注2 直近では、2007年10月、青島ビールがタイに初の海外工場を建設すると発表。 注3 国際貿易投資研究所:季刊『国際貿易と投資 Winter 2006/NO.66』の「進出事例からみた中国系企業の対日進出戦略」 68ページ 注4 新興市場の向け株式市場のマザーズ(東京証券取引所が開設)やヘラクレス(大阪証券取引所が開設)での中国企業の上場例はある。
1950年生まれ。1975年、東京外国語大学卒業、日本貿易振興会(ジェトロ)に入る。香港大学研修、日中経済協会、ジェトロ・バンコクセンター駐在などを経て、1993年、ジェトロ大連事務所を設立、初代所長に就任。1998年、大連市旅順名誉市民を授与される。ジェトロ海外調査部中国・北アジアチームリーダー。2001年11月から、ジェトロ北京センター所長を勤めた。 「人民中国インターネット版」より2008年3月26日 |
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