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日中貿易がマイナス成長に 江原規由氏への取材
発信時間: 2009-02-23 | チャイナネット

――今回の金融危機を含め、戦後、石油危機、アジア通貨危機といくつかの経済危機がありましたが、日本はいつも大きな影響を受けました。これはなぜでしょうか?

石油危機で日本は省エネ型の産業構造に転換し、環境意識を高めることができた。人間で言えば、ダイエットに成功し、食事メニューに気を配るようになったということだ。その過程で、日本は世界に冠たる省エネ技術、環境保全関連技術を開発し、その後の日本経済の発展、対外貿易の拡大などに貢献してきた。アジア通貨危機は、日本の「失われた10年」という景気後退局面で発生したおり、円高から円安へと通貨調整で経済に大きな混乱を生じたが、通貨変動に対する対応面で日本経済は一定の免疫力を得た。ただ、円の国際化は大きくは前進しなかった。いずれの場合も、外部環境の急変に、日本経済は積極的に対応してきたといえる。

産業構造の転換、人民元の国際化などに直面している今の中国経済にもいくつか同じような状況が見出せよう。

日本はこうした経験を経て今回の金融危機に直面しているが、今や、その免疫力が弱まり、いわば、今日の危機に効く新ワクチンの開発に迫られている状況だ。

例えば、外国機関による日本企業の株式保有が急速に高まってきていたことなど、日本経済が「外部要因」に支配される部分が増えつつある点、これは必ずしも、日本経済の発展、産業力アップにマイナス要因とはいえないが、いざ金融危機などが発生した場合、経済動向への不確実要因を形成しよう。そのほか、雇用形態、教育環境、社会保障など、従来日本経済の特徴、強さの源泉であった制度、習慣、環境が、日本経済の国際競争力向上のため、危機管理のため、大きく変化させられ、それが定着しないまま、再度100年に一度という金融危機に直面した状況に日本はあるといえる。

日本にとって、今日の危機に効く新ワクチンとして、対中経済協力関係の強化、東アジアでの経済連携における共同歩調などが指摘できよう。そのワクチンは、中国経済の発展にも大いに効き目があるように思う。

 

江原規由氏プロフィール

1950年生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業。日本貿易振興会(ジェトロ)入会。香港大学での研修、日中経済協会、バンコク・センター駐在などを経て、1993年大連事務所初代所長に。1998年大連旅順市から名誉市民の称号を授与される。同年海外調査部中国・北アジアチームリーダー、2001年北京・センター所長となり、2005年10月よりジェトロ企画部事業主幹(中国北アジア担当)に就任。現在、日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部主任調査研究員。

「北京週報日本語版」より2009年2月23日

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