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非理性的要素の妨害を克服 中日関係は成熟に向かっている
発信時間: 2009-04-29 | チャイナネット

日本の麻生首相が今日、中国を訪問する。胡錦濤主席が昨年訪日した際に両国の首脳間で交わされた「双方のハイレベルの定期的相互訪問」の約束が実行されるのである。麻生首相は昨年10月、アジア欧州首脳会議に参加するために北京を訪れたが、国賓として中国を正式訪問するのは、首相就任以来、今回が初めてとなる。

中日両国は長年に渡って積み重なった恩讐をいまだ完全に克服できていないため、今回のような理性に基づく重要な外交活動も非理性的な要素の影響を免れない。麻生首相の訪中前に起こったいくらかの波乱がそれを物語っている。

昨年以来、日本の国内政治はすべて選挙を中心とする状態に突入した。選挙時の政治家というものは往々にして非理性的であり、あるいは手段を選ばず、非理性的要素によって突き動かされるか、非理性的な行動を自ら選択するかのどちらかである。

麻生首相もこの悪循環から逃れることはできず、近頃もこれのために少なくとも二つの試練を受けた。一つは民主党の前原誠司前代表が国会で故意に提起した釣魚島の問題。前原前代表の質問にどのように答弁しようとも、その結果は外交問題を引き起こすか、国内の反発を招くかのどちらかしかなく、どのみち自民党の選挙にとっては不利なのである。

もう一つは靖国神社の問題。春季例大祭の時期を迎え、麻生首相は党内の参拝推進派の圧力に直面することとなった。もし参拝すれば、自分が一貫して堅持してきた政教分離の原則にもとるだけでなく、より深刻なのは、日本と周辺国家の関係に緊張を招くことである。しかしもし参拝しなければ、選挙の際に日本遺族会の票を確保できなくなる(この票は17万票と言われている。最盛期には50万票以上あった)。

今回、麻生首相は靖国神社に私費で「真榊(まさかき)」を奉納した。こうすることで参拝推進派にも申し開きができ、周辺国家に対しても自らは参拝していないと表明することができると思ったのだろう。だが結果として、麻生首相はやはり国内外から疑問や批判を浴びることとなった。

幸いなことに、中日双方は上述の非理性的要素に冷静に対応し、その克服に努め、麻生首相の訪中を最終的に決定することができた。これは中日関係が成熟に向かっていることの現れである。それでは、どのような事情によって両国は非理性的要素の妨害を克服し、理性的な態度をもって双方の関係に生じた波紋を静めたのであろうか? その原因は、中日両国が今まさにより大きな試練にともに直面していることにある。

第一に、目下の国際構造は「一超多強」から多極化へと移り変わる過程にあり、アジア太平洋地域は日に日に国際政治の中心地域となっている。既存の日米同盟のメカニズムはすでにアジアの新しい安全保障環境には適応しなくなっている。したがって、日米同盟と中米協力の関係をどのように認識するかは、中日両国の政治家が必ず考えなければならない重大な問題である。

第二に、金融危機の勃発により、中日両国には新たな課題が与えられた。世界第1位及び第2位の外貨準備保有国であり、また米国債の最大の保有国である中国と日本は、いかにして日増しに増長する米国の貿易保護主義に共同で対応していくか、金融危機に対していかなる連帯行動を取っていくか、いかにして内需を拡大し、大国の役割を果たし、東アジアの経済安定に貢献していくかなど、真剣な対話を通して歩調を一致させる必要がある。

第三に、北東アジアの安全維持は、中日両国の当然負うべき責任である。中日両国は、いかにして6カ国協議の枠組み内で協力を強化し、朝鮮半島の無核化を推進していくか、いかにして両国の共同の約束を実行し、東海を平和・友好の海に変えていくか、いかにして歴史を正視し、未来に目を向ける姿勢をもって戦略的互恵関係をともに築いていくか、いかにして大局から着眼し、互諒互譲(互いに了解し合い、互いに譲り合う)の原則に基づいて具体的な相違点を解決していくか。これらすべては両国の政治家の遠見、知恵、柔軟性が試されているのであり、また両国国民の理性、度量、成熟度が試されているのである。

「風物長宜放眼量(何事も長い目で見る)」。中日両国が真の戦略的互恵関係を構築するためには、一時の損得に混乱させられることなく、一時的な浮き雲に遮られることなく、理性をもって非理性に打ち勝ち、冷静さをもって情動を克服することが必要である。そうしなければ、両国共同の未来に互いの利益となる新天地をつくり出すことはできない。

(上海国際問題研究院日本研究センター副主任 廉徳瑰)

 

「チャイナネット」 2009年4月29日

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