■数字よりも心の問題
――去年、日本で起きた中国産食品に対するパニックをどう見ていますか。
心の問題だったと思うんですね。中国産食品はほかの国の食品よりも、安全でない、危険で、毒があるという証拠はどこにもないです。むしろ、数値では、中国の食べ物はたぶん世界で一番安全です。なぜならば、日本が輸入している世界各国からの食品の平均値よりも遥かに違反率が低いからです。
日本農林水産省は先日、2008年の輸入食品の違反率を発表しました。驚く結果でした。アメリカと欧州はやや上回って0.6以上に上昇しましたが、中国は0.27%に下がっていました。数字上、良い実績が残っています。 ただ、そういう数字のことよりも、やはり潜在的に中国産がすごく増えている。そういう意識が高まって、どこかで不安になったんじゃないですか。
――日本のマスコミの報道で、気になったところもあるのですか。
去年、日本で毒入り餃子問題が起きた時、ちょうど中国は旧正月で、私は青島で社員と一緒に餃子を食べていました。私はこの事件について、「食品の安全管理上の問題じゃない」と思っています。農薬の残留問題にしては、混入している量が多すぎたからので、誰かが故意に入れなかったらありえない量です。つまり、食品犯罪なのです。この点、日本のメディアははっきりと明確にしては報道しなかったように思います。
その一方、犯罪事件に重ねあわせた捉え方をする場合が多かったのですね。例えば、一昨年のダンボール肉まんのこともそうでしたが、メディアが騒いで、面白がっていました。日本の消費者はすごく、そういったものに驚かされるし、喜ぶ楽しむ。心配だといって、喜ぶんですね。
そういうものではなく、自分たちが食糧を確保するため、もっと事実をみなければならない。マスコミはもっと勉強しなければならないと思います。
■中国は大事な食糧供給基地
――日本人は「自分たちが食糧を確保するため、もっと事実をみなければならない」とおっしゃいましたが…
何せ、食糧自給率が40%しかない。日本人は、自分たちが食糧をどこかの国から輸入しなければならないということは知っている。よくて安い食材がないかと海外にもとめてきたのですね。欧州は遠すぎる。安くない、それから、気候が違いすぎて、日本人が好きな野菜にならない。で、一番近くにあるのは韓国と中国。韓国は農地が少ない。中国は四季もあるし、日本人がほしい野菜が全部手に入るんですよ。
――言い換えれば、「パニックは一時的なもので、長期的に見れば、食材の輸出入という総合依存関係が変わらない」というお考えですか。
それを中国が許してくれれば、極端に言うと。中国も百パーセント食料を自給している国ではなく、今ではものを買う国になりました。なのに、よその国に輸出する余裕はいつまであるのかということですね。
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