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japanese.china.org.cn |16. 03. 2022

原雄三ANA中国総代表「50周年が『コロナ脱却・人的往来再開』の年になってほしい」

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中国網日本語版  |  2022-03-16

 今年は中日国交正常化50周年にあたり、日本最大の航空会社である全日本空輸(ANA)の中国市場進出35周年でもある。ANAは中国でどのような発展を辿ったのか。中国社会のどのような変化を目にしたのか。新型コロナウイルス流行と世界情勢のダブルの影響下でどのような困難に直面し、対応するのか。中国網はANA中国総代表・中国日本商会副会長の原雄三氏に独占インタビューを行った。

 

 

 インタビュー当日、北京市は数日の寒い日が過ぎ、春のすがすがしい気候だった。原総代表は明るい事務所に座り、ANAの中国での発展について語り始めた。

 

 中国との深い関係

 

  原総代表によると、ANAと中国の関係については、ある重要人物にまで遡らなければいけない。その人物は中日両国の国交正常化に全力を注いだANA2代目社長の岡崎嘉平太氏である。

 

  岡崎嘉平太氏は周恩来総理より中日友好の「掘井人(井戸を掘った人)」の一人と称され、中日国交正常化の推進に多大な貢献をした中国人民に尊敬される日本人である。1960年代初め、岡崎嘉平太氏は廖承志氏、松村謙三氏、高碕達之助氏ら中日両国の先輩・先賢と共に「中日長期総合貿易に関する覚書」を締結し、中日の交流活動を「半官半民」の段階に推進し、中日国交正常化の基礎を固めた。

 

 このような背景下で、1972年の国交正常化後、ANAは中日の政治経済界、文化界の訪問、交流団体のチャーター便業務を担った。

 

 1987年4月16日、ANAの顧問を務めていた岡崎嘉平太氏は90歳の誕生日にANAの初便で北京を訪問し、ANA中国航路定期便が開通した。

 

中国事業は勢いよく成長


 

 


(写真はANAが提供)


 35年で、ANAは北京、大連、上海、青島、瀋陽、廈門、杭州、広州、成都、武漢、深センなど中国大陸部11都市との航路開通を実現し、中日間で航路が最も多い外国の航空会社となった。2019年の新型コロナ流行前、ANAが運航する中日間のフライトは週200便以上で、両国の経済貿易交流、人的往来に重要な役割を果たした。

 

 原総代表は、便数の激増だけでなく、ここ数年、乗客構造にも大きな変化があったと話す。航路開通当初、ANAの中日便は日本人の乗客が大多数を占め、10年前まで中国籍の乗客の割合は20%前後だった。しかし、ここ10年の中国経済の急成長、中日間の人的往来の緊密化、特に日本旅行の人気に伴い、中日の乗客の割合は逆転した。新型コロナ流行前、中国人の乗客の割合は60%を超えた。原総代表は、「ANAの中国市場に対する位置づけは非常に明確で、ずっと極めて重要な存在である。これから中国市場をさらに拡大することも発展のビジョンに示されている」と述べた。

 

 コロナ禍で社員と共に難題を克服


 しかし突然の感染症流行により、ANAの計画は先送りとなり、業務全体も大きな影響を受けた。原総代表は、両国の防疫政策に基づき、ANAの中日間の旅客便は現在週5便になり、旅客輸送収入は通常時の10分の1に減少したと話した。ANAは全社員の努力によるコスト削減、貨物便増加による収入補填などに力を入れ、困難克服に努めている。

 

 非常時でも、ANAは両国関係促進の役割を果たし続けている。2020年に中国でコロナが流行し始めた頃、ANAは日本から大量のマスクなどの防疫用品を輸送し、2022年北京冬季オリンピックの時には日本の選手と記者団を輸送する任務を担った。

 

中国市場に期待



2019年、中国国際商会が率いた中国企業家代表団のANA機体工場の見学を受け入れた(写真は中国国際商会中日韓企業交流センターが提供)。


 困難はあるが、原総代表は今後の中国市場に自信を持っている。原総代表によると、昨年4月の中国人観光客旅行意向調査によると、「最も行きたい海外旅行先」で日本はダントツ1位だった。ここから、コロナ収束後、多くの中国人観光客が日本を訪問し、日本文化とふれあい中日間の経済発展と友好促進に繋がるものと期待している。

 

 原総代表は、2021年に中国は予定通り小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成を実現させ、「共同富裕の着実な推進の歴史的段階」に入り、中国の広大な農村地区の人たちはより豊かになり、旅行意欲が高まると見ている。そのため、日本にとって中国は潜在力の大きい市場であり、中日間の経済は更に発展していくと見られる。

 

「中国の目覚ましい変化も実際に見てもらいたい」


 


(写真はANAが提供)


 中国人の日本観光ブームと逆に、近年、中国を観光で訪れる日本人は減少し続けている。原総代表は、これは過去10~20年、日本経済が大幅に成長していないこと、少子化問題による若者の減少と関係があると見ている。

 

 原総代表は、多くの日本人、特に若者に実際に中国を訪れて万里の長城などの世界遺産以外の風景も観賞してもらい、どこかの都市や街の人文風情を体験してもらいたいと考えている。また、「中国の目覚ましい変化も実際に見てもらいたい。現在、中国のモバイル決済やECなどは世界をリードしており、デジタル化による便利な生活を体験してもらいたい」と話した。

 

50年は非常に重要な区切り

 

 今年は中日国交正常化50周年、ANA設立70周年、ANAの中国便開通35周年である。原総代表は、「50年は非常に重要な区切りであり、コロナが早く収束し、両国間の交流が正常に回復し、2022年がコロナ脱却と人的往来再開の年になってほしい。中日両国の空の架け橋として、ANAは引き続き中日友好に力を注いでいく」と話した。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年3月16日