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japanese.china.org.cn |22. 10. 2022 |
日本は「感情政治」の悪循環を打破できるか
日本の自民党と公明党は19日に与党協議会の初会合を開き、年内に改定する「国家安全保障戦略」などの3大戦略文書について議論した。両党の中国への態度は一致しなかった。自民党は中国を「重大な脅威」とみなすべきとしたが、公明党は対話の必要性を強調した。「感情政治」が依然として日本の政界を主導していることが分かる。(筆者=劉慶彬・華僑大学客員教授、横浜国立大学元特任教授)
日本メディア及び学界は、岸田文雄氏の1年間の政権運営を「検討ばかりで行動しない」と総括し、「検討使」というあだ名をつけた。内政の無作為に、国民の自民党(特に安倍派)と旧統一教会の関係への反感が加わり、日本で最近行われたほぼすべての世論調査で岸田内閣への不支持が支持を上回っている。一部の日本メディアはさらに、岸田内閣の崩壊へのカウントダウンがすでに始まったと推測している。岸田氏が長男を政務担当の首相秘書官に起用した件も「政権の末期症状」とされている。筆者はこのカウントダウンに入ったかを分析するつもりはなく、今世紀以降の日本の政治・経済への観察に基づき、日本の政治及び政界の「呪い」に迫ろうと思う。
21世紀になると日本の政界では「小泉旋風」が巻き起こった。これは「小泉劇場」とも呼ばれた。小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と言い「構造改革」を行った。小泉氏は新自由主義を掲げ、米ブッシュ政権が発動したイラク戦争をほぼ無条件で支持し、日本の政治のタブーと政権の伝統を打破し自衛隊をイラクに派兵し、「自衛隊の活動地域が非戦闘地域」という笑い話を残した。イラク戦争については今やほぼ結論が出ているが、小泉氏の新自由主義政治の清算は日本で中途半端に終わった。岸田氏は就任早々、新自由主義と一線を画すとし、「新資本主義」を掲げたが、具体的な行動は少ない。安倍氏が殺害されると、経済成長の代わりに感情を強調するという「小泉劇場」の続きを演じた。
今世紀初頭、日本の人口のターニングポイントが接近し、金融危機及び不良債権の影響を受け、日本の学界と政界の保守派は「かつての英国のように栄えある衰退を迎える」「経済成長ではなく幸福度指数の向上を求める」といった観点を示した。小泉氏の「靖国参拝政治」は日本の新世紀の感情政治の悪例を作り、安倍氏の歴史修正主義政治の先陣を切った。いわゆる感情政治とは唯心論による選挙政治、価値に背く「価値観政治」であり、カルト宗教や極端な価値観及び感情に操られ、利用されやすい。筆者は旧統一教会の霊感商法を参考にし、今世紀以降の自民党の感情政治を「靖国商法」と呼ぶ。これは靖国神社に祀られているA級戦犯の「神格化」により、戦前と戦後の区別を混交し、国民の哀悼の感情を強めることで選挙の議題を操り票を集めようとするものだ。
同じく今世紀初頭、デンゼル・ワシントンが主演しアカデミー主演男優賞を受賞した「トレーニング デイ」には、次の啓蒙的なセリフがある。「笑うも泣くも自身の尊厳、自身の富であり、他人に操られるべきではない」日本の状況は正反対だ。自民党の保守派と保守メディアが国民の感情を操り、経済成長の代わりに感情を強調しようとしている。日本の政治家の運命も、国民の感情を操るテクニックとメディアの協力にかかっている。
日本の多くのメディアが悪魔と契約を交わしたファウストのように、国民の幸福のため声を上げるのではなく、最近の内閣の浮き沈みの中で権力の快感を味わっている。
票集めと宣伝のため、政界とメディアの結託により日本の感情政治がエスカレートしている。これは安倍氏が殺害された悲劇を生んだ一つの主因とも言える。国葬が引き起こした騒動からは、日本国民のこの手の感情政治への嫌悪を見て取れる。岸田内閣は自由主義に別れを告げた後、感情政治に別れを告げられるだろうか。これは難しいだろう。口を開くとすぐ価値観を唱える岸田内閣と自民党は、価値観と価値の関係を絶った。価値の基礎から離れた価値観は感情政治を「ヘイト政治」に変える可能性が高い。山上徹也容疑者は旧統一教会への恨みにより、最終的に安倍氏を銃撃した。また口を開くとすぐ価値観を唱える岸田内閣は自分の周囲に敵を作った。ロシアと朝鮮を脅威としたばかりか、中国を潜在的な敵としており、韓国とも慰安婦や徴用工などの問題をめぐり絶えず食い違っている。
安倍氏が殺害された後、自民党の麻生太郎副総裁は「台湾有事は日本有事」という論調の代表者になった。日本メディアは、岸田内閣の「成敗は麻生氏次第」になりそうだと形容している。このような麻生氏との関係を断つことは、岸田氏にとって支持率を上げ、自身のハト派の本色に戻り、日本の独立性を救うための近道だ。
台湾問題をめぐり、岸田氏本人は保守派政治家と異なり、保守派が必ず口にする「台湾有事」ではなく「台湾海峡問題」という言葉を使っている。岸田内閣が日本の感情政治の悪循環を打破し、「ヘイト政治」の穴に落ちないことを願う。感情を強調しても経済を成長させることはできない。経済成長は日本だけでなく、コロナ後の世界にとっても極めて重要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年10月21日