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japanese.china.org.cn |07. 03. 2023 |
松野豊氏:中国経済発展の質的転換への期待
文=日中産業研究院院長 松野 豊
習近平総書記は5日午後、第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議の江蘇省代表団の審議に参加した際、社会主義現代化国家の全面的な建設における最重要任務である質の高い発展を系統立てて詳述した。中国が今後の経済を持続的に成長させていくために、産業や社会を量的拡大から質的発展に転換していこうとしていることは、とても理にかなうものである。
筆者は、経済の質的発展への転換において重要となるのは、以下の3つであると考える。すなわち「労働生産性の向上」、「全要素生産性の増加」及び「内需の拡大」である。
中国の労働生産性増加率は、近年実質GDP成長率を上回っており、質的な経済成長へ向かっていると言える。しかし今後の高齢化社会に備えるためにも、さらに労働生産性を高めていく必要がある。
技術イノベーションの効果を数値で測るのは難しいが、経済学には工学的な技術革新や労働者の能力向上など広義の技術進歩をあらわす「全要素生産性(TFP)」という指標があり、統計データなどから計算が可能である。全要素生産性をさらに向上させるため、中国は今後研究開発投資の効率化や産業転化率の向上等が必要だ。
中国は、貿易黒字や設備投資が拡大しているため、内需を示す消費(社会消費品小売総額等)の比率が他の先進工業国に比べて相対的に小さく見えるが、実際は着実に拡大している。しかし中国経済の実力からみれば、まだまだ消費拡大の余地がある。特に生活必需品等の消費財は、製品輸入の拡大や国内品の質的向上を行っていけば、消費市場は活性化し、内需が安定的に拡大していくだろう。
中国経済は今、大きな転換期に差しかかっている。そして国内外の様々な問題を解決していくためには、今後も持続的な経済成長が不可欠である。中国政府が五か年計画などで示す経済や社会の発展指標は、今後すべて質的発展を意味するものになって欲しい。中国の経済発展の質的転換は、関係する諸外国が共通に期待していることでもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月7日