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japanese.china.org.cn |03. 04. 2023

ボアオフォーラムから見るアジア地域連携の重要性=松野豊氏

タグ: ボアウ アジア 海南 産業 サプライチェーン
中国網日本語版  |  2023-04-03

文=日中産業研究院 松野豊


 2023年の「ボアオ・アジアフォーラム」が中国海南島の博鰲で開催された。今回は久しぶりの全面対面方式での開催であり、日本からは福田康夫元首相などが出席した。

 今回の中心テーマは「不確実な世界」への対応である。具体的には、我々が世界のサプライチェーンや文化の分断にどう対処すべきなのかが議論された。

 本フォーラムの主役に位置するのはアジアの国・地域である。筆者が最も関心を持っているのは、この世界人口の約6割、国際貿易の約3割を占める地域が世界分断の危機に直面し、産業サプライチェーンを維持するためにどう協力していくべきかという点である。

 そのためには、アジア地域の国・地域がRCEPなどの地域経済連携の実効性を高め、開放的で質の高いグローバルビジネス環境を構築していく必要がある。また産業面での地域連携は、同時に文化、教育、衛生、青少年、メディアなどの各分野での深い交流と相互理解をもたらすはずである。

 本フォーラムの中心的存在である中国は、アジアの地域連携を深めるために果たさなければならない役割がある。筆者は主に3つの役割を提言しておきたい。

 第一は、中国が市場開放度、各種法制度、国際標準準拠の3つの面で、世界で最も競争力のあるビジネス環境を提供することであり、またこの環境を世界情勢に合わせて絶え間なく改善し続けることである。

 第二の役割は、特に東アジア地域の産業サプライチェーンを安定化・高度化するために、中国が積極的に製造業などの国際分業を進めることである。例えばこれまで東アジアでは、主に日本から東アジアに中間財が輸出され、東アジアはこれをもとに最終消費財を生産して欧米先進国に輸出するという国際分業構造がみられた。今後は、日本だけでなく中国がこうした国際分業の主導権を握っていくことが求められる。

 中国の第三の役割は、企業の海外投資を促進することで、中国またはアジア発のグローバル企業を多く生み出すことである。現代のサプライチェーンにおいては、価格や生産地決定の主導権を握っているのは、国ではなくグローバルに展開する企業なのである。

 現在の世界情勢をみると、アジアの地域連携にとっては逆風が吹いている。産業チェーンは短縮され、地域ごとに産業の閉鎖的なクラスター化も進んでいる。しかし一方で、カーボンニュートラル化のためのグリーン投資のように、投資マネーが再生エネルギー源を求めて世界の幅広い地域に拡散するという現象もある。

 アジアは地域連携を深めて、安定的かつ高品質な産業チェーンを形成し、世界の投資マネーを引き寄せていかなければならない。そのために中国とボアオ・アジアフォーラムの果たす役割は、年々高まっていくだろう。

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月3日