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japanese.china.org.cn |04. 08. 2023

河野談話から30年、歴史の記憶が風化させるな

タグ: 河野談話 村山談話 謝罪 慰安婦
中国網日本語版  |  2023-08-04

 時の河野洋平内閣官房長官は30年前の今日に河野談話を発表し、旧日本軍が韓国などの国の数万人の女性を「慰安婦」として強制徴用した事実を正式に認め、謝罪した。河野談話は1995年の村山談話と共に、日本による第二次大戦の対外侵略の歴史の反省の象徴とされ、日本政府の正式な立場として今日まで継承されている。

 河野談話は30年に渡り、日本と中韓などの関係改善及び発展に積極的な力を発揮してきたが、日本国内では絶えず疑問視・否定・形骸化されている。これは日本の間違った歴史観が根深いことを示している。日本が歴史の責任を極力回避し薄れさせ、強軍・軍拡路線に戻る現在、国際社会は河野談話を温め、日本に対して歴史の教訓を深く汲み取り、実際の行動によりアジアの隣国との和解を促し、アジアの平和と安定を守るよう求める必要がある。

 慰安婦強制徴用は旧日本軍が第二次大戦中にアジア各地で組織的に行った人道に対する罪だ。日本の恥、人類の恥であるだけでなく、中韓などのアジア諸国の身にしみる痛みだ。第二次大戦後の旧日本軍国主義の清算が徹底せず、また国際法の処理の面が空白であったことから、この問題は一定期間に渡り国際社会から重視されなかった。人権意識と女性の権利の観念が強まる中、韓国の代表者は1990年12月にアジア女性人権評議大会において慰安婦問題を掲げた。その後、韓国の慰安婦被害者である金学順さんが自らの経歴により日本の罪を全世界に暴き、国際社会から注目を浴びた。また中国を含むその他のアジア諸国の被害者に勇気を与え、多くの被害者が手を挙げ日本側に謝罪と賠償を要求した。日本政府は国際的な圧力により本件を調査し、韓国の元慰安婦16人の供述を集めた上でいわゆる「慰安婦関係調査結果」を発表した。旧日本軍当局が戦時中に広く「慰安所」を設置し、本人の意向に背き慰安婦を徴用し、多くの女性の名誉と尊厳を深く傷つけたことを認め、日本政府は関係者に心からお詫びと反省の気持ちを申し上げるとした。その後、当時の細川護熙首相と村山富市首相は日本の侵略の歴史に関する談話を発表し、アジア諸国の人々に謝罪した。

 第二次大戦後70数年の歩みを見ると、保守政治勢力が権力を握り続ける中、日本国内では歴史問題への深い反省が終始欠けており、1993年の河野談話と1995年の村山談話は非常に得難いものだった。これはアジア諸国の長期的な戦いの成果であり、日本国内の反戦・平和勢力の揺るぎない働きかけの結果でもある。ところが日本右翼保守勢力にとって、第二次大戦の加害の歴史と戦争の罪を認めることは「日本民族の尊厳と国益」を深く損ねる「自虐史観」であり、そのためこの2つの談話は右翼勢力から常に目の上の瘤とされてきた。長期的に、談話を否定し覆そうとするさまざまな言行が繰り返されている。日本自民党総裁や外務大臣などの要職を歴任した著名政治家の河野洋平氏も、「親韓媚中」さらには「売国奴」のレッテルを貼られ、常に日本右翼から包囲され、人身の安全が脅かされている。

 21世紀に入り、日本政治の保守・右傾化が発展する中、日本政府は河野談話と村山談話を表面的に踏襲・継承しながら実際には回避する方針を取った。第二次大戦終結60・70周年記念という重要な節目において、日本政府は小泉談話と村山談話を発表したが、第二次大戦中の侵略の歴史がアジアの隣国にもたらした傷についてはあっさり触れるに留め、歴史を反省する誠意が非常に不足していた。日本政府はさらに2014年に専門家を集め、河野談話発表の経緯の特別調査を行った。また河野談話の内容は韓国政府と調整しており、「政治的妥協の産物」であると称し、韓国側から猛反発を受けた。

 第二次大戦終結から78年後の今日、戦争を経験した人が減少を続け、歴史の記憶が風化の危険に直面している。日本の政治環境と社会の思想が絶えず右傾・保守化する現在、左翼・護憲勢力及び反戦・平和勢力が衰えるにつれ、日本人の第二次大戦への歴史認識も徐々に曖昧になっている。侵略の歴史を否定し、美化し、薄れさせる言行が絶えず見られ、しばしば日本とアジアの隣国の関係の発展を妨げている。

 河野談話の重大な意義は、それが勇敢に歴史を直視する古い世代の日本政治家の責任感を示し、正義と良心に富む日本人の粘り強さを反映した点にある。そのためこの談話は日本の右翼が見るような重い負担では決してなく、戦後日本の貴重な財産だ。日本側は被害者が忘れることで歴史問題が解消されることを願うべきではない。歴史の記憶の風化は許されない。日本側が歴史を鑑としてこそ、日本とアジアの隣国の関係が重荷を下ろし、手を携え未来に向かうことができる。

 (筆者=項昊宇・中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月4日