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japanese.china.org.cn |22. 03. 2024

また帰ってくるよ 新疆!

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人民中国  |  2024-03-22

何京盛=文・写真


 美しく、神秘的な魅力に満ちた新疆ウイグル自治区(以下新疆)。昨年、私は幸運にも再びこの地に帰ってくることができた。「帰ってきた」と書いたのは、新疆の人々の温かい心が、まるでふるさとのぬくもりのように感じられたからだ。彼らは本当に信頼と尊敬に値する、愛すべき人々である。


 私にとって新疆の地を踏むのは今回で2度目だ。前回とは異なり、今回の目的地は新疆南部に位置するカシュガル(喀什)地区とクズルス・キルギス(克孜勒蘇柯爾克孜)自治州であり、通関地を中心に新疆を巡った。


カシュガルで出会った笑顔


 「カシュガルを訪れずして新疆に行ったことにはならない」とよく言われる。新疆のカシュガル地区は、シルクロード経 済ベルトの中核エリアの南疆に位置する重要なハブとして地理的優位性にとりわけ恵まれており、カザフスタン、パキスタン、タジキスタンなど8カ国と国境を接し、クンジュラブ(紅其拉甫)、カラス(卡拉蘇)、トルガルト(吐爾尕特)、イルケシュタム(伊爾克什坦)、カシュガル空港という五つの重要な対外開放のための通関地を有している。かねてより「五つの通関地から8カ国に通じ、シルクロードで欧州にまでつながる」と称されるこの地は、中国にとって西に開かれた重要な窓口であり、中国と中央アジア、南アジア、西アジア、さらには欧州を結ぶ往来が盛んな国際的ルートでもある。




 空港を出ると空気の匂いが変わったように感じられ、通り沿いの店の看板に書かれたウイグル語にとりわけ親しみを覚えた。宿泊したホテルはカシュガル旧市街の辺りで、通りや路地を歩いて現地の雰囲気を身近に感じることができ、とても便利だった。スマホのカメラで路地を撮影していると、通りすがりの男性や女性、子どもたちが笑顔で迎えてくれた。また、大きな石の上に座ってゲームをしていた2人の幼い男の子は通り過ぎようとする私を見るや、彼らの方から声を掛けてくれたので、この素晴らしい瞬間を記録したいと思い、一緒に写真を撮った。さらに、通りの両側には商売を営む人々が小さな店を開いていた。少数民族の服を売る店、玉を売る店、ナン(円盤状のパン)を売る店、ザクロジュースを売る店など何でもそろっていて、新疆は本当にあちこちにバザール(ペルシャ語で市場という意味)があるのだなと感じた。


 楽器店の前では年をとった2人の男性が伝統的な弦楽器を演奏していた。のんびりと楽器を弾きながら歌う2人の姿は実に美しく、安らかなものだった。その歌声とともに、私はその日の旅程を終えた。


 翌日早朝、カシュガルの旧市街への好奇心から、私は早起きして再び路地に入り、最も現地の雰囲気を感じられるものを探し求めた。路地の奥まで歩いていくと、近くで笑い声が聞こえた。そこでは、子どもたちがかくれんぼをしていたのだ。私は駆け寄り、「今日は学校に行かなくていいの?」と聞くと、その中で一番幼そうな男の子が、「今日は週末だよ! 休みだから行かなくていいんだ。楽しいよ」と答え、そして私に「おじさんは楽しい?」と聞いてきた。「おじさんも楽しいよ」。私がそう答えると、子どもたちはさらに「おじさんはなんで楽しいの?」と聞いてきたので、「みんなが楽しんでいるのを見たから、おじさんも楽しいんだよ」と言うと、その場にいた全員が笑った。大都市の騒がしさの中では、このような心触れ合う素朴な会話はめったにない。私は子どもたちを急いで呼び戻し、おじさんが写真を撮ってあげるよと言った。子どもたちの無邪気な笑顔、そして澄んだ目がいかに美しいか、読者の方々にもぜひ写真を通じて感じてほしい。


真っすぐな心のウイグル族の生徒


 次に訪れたのは、クズルス・キルギス自治州アクト(阿克陶)県の雪松中学(中高一貫校)だ。この学校は同県のペアリング支援を担当する江西省が1億2200万元の建設資金を全額拠出した特色あるモデル校。同校は江西省の文化資源の強みと現地に来て教育支援をする教師の経験を生かし、積極的にアクト県で文化活動を行っている。陶芸、朗読、切り紙細工などのサークルを設けて中国の伝統技術と中国の歴史・文化の要素を取り入れ、活気と趣きのあるサークル活動を通じて生徒たちが学び、楽しく伝統を受け継ぐことができるようにし、全方位的かつ多角的に教育手段を広げている。



 ここの生徒たちは熱心な上に多芸多才で、さまざまな言語で簡単なあいさつをすることができた。合唱部の男の子は私が日本から来たと知ると駆け寄ってきて、私の手を取りながら「日本人を間近で見るのは初めてなんだけど、こんな感じなんだね!僕は本当に日本が好きで、小さい頃から日本のアニメを見ていて、日本の子どもが野球をしているのもテレビで見たことがあるよ」と言った。その男の子の純真な瞳からは、外の世界への憧れと同時に、私への尊重と友好の気持ちが感じられた。別れ際、彼はずっと私の手を握り、抱きしめてくれた。「大人になったら、あなたに会いに日本に行くよ。また今度新疆に来る機会があったら、必ず教えてね。羊肉の串焼きをごちそうするから」。そのあどけなく澄んだ声は、今も耳に残っている。


通関地での忘れられない出会い


 冒頭で、今回の新疆訪問の目的は「通関地を中心に新疆を巡る」ことだと書いたが、通関地での中国や外国のビジネスマンやトラック運転手との出会いは、私にとって貴重な経験だった。特に印象的だったのは、クンジュラブ通関地の中国・パキスタン経済回廊で出会ったパキスタンのビジネスマンたちだ。そのうちの一人である40歳くらいのビジネスマンは流ちょうな中国語を話し、中国とパキスタンを20年近く行き来しているそうで、「私は中国が大好きです。この肥沃な土地は無限のビジネスチャンスを与えてくれました。また、長年新疆の人々の優しさに触れる中で、中国を第二のふるさとと感じるようになりました」と語っていたのが印象的だった。



 イルケシュタム通関地に到着したとき、トラックから降りて「ドライバーハウス」で休憩している4人のウズベキスタン人の運転手が目に止まった。たくましい体としっかりとした歩き方から、彼らがとても健康で、働き者であることが分かる。あいさつをしようと近づいたが、あいにく英語が通じなかったため、身ぶり手ぶりで意思疎通をするしかなかった。


 そこで運転手の一人に彼の大きなトラックに乗せてもらえないかとお願いすると、彼は大いに歓迎してくれた。トラックは家代わりであり、中国とウズベキスタンの経済的往来と友好交流のために物資を輸送していると簡単な英語で教えてくれた。運転席の後部を見せてもらうとベッドになっていて、疲れて眠くなるとそこで寝るのだという。「一帯一路」のドライバーたちの笑顔からは、誠実さが感じられる。私は心の中で、お疲れさまですと言った。また、別れ際には親指を立てるサインとともに、「安全に気をつけてくださいね」と言った。彼に言葉が通じたかどうかは分からないが、私の思いが伝わっていたらと願っている。



 今回の旅では、新疆の経済・社会の発展の活力と、天山山脈の南北の至る所で見られる穏やかで平和な雰囲気が深く印象に残った。愛すべき人々に出会い、数多くの美しい景色を目にし、たくさんのグルメを味わい、さまざまな民族の伝統文化や風習、人情に触れることができた。最後に、この素晴らしい土地に、この言葉を送って本稿の締めとしたい。「また帰ってくるよ、新疆!」


「人民中国」より 2024年3月22日