日本の東京電力(東電)はこのほど、福島第一原発2号機から試験的に約5ミリ・約0.7グラムの核燃料デブリを取り出し、格納容器から運び出したと発表した。2011年の福島原発事故発生後の核燃料デブリ取り出しは初。
核汚染水と異なり、核燃料デブリは通常、放射性物質の濃度がより高く、放射性同位体の半減期もより長い。周辺国の人々が東電の善後処理、特にこの「大事業」を100年続けることに不安を抱くのは極めて正常だ。東電の福島原発事故発生前後の対応は、これが天災であるだけでなく人災でもあることを十分に証明した。このような会社が自覚的に各種基準及び規定を遵守し、原発事故の善後処理を自ら審査・監督することに期待する結果は想像に難くない。
そのため今後の日本政府は、国際原子力機関(IAEA)の核燃料デブリ取り出し・輸送・保管プロセスの9つの基本原則(人々の健康を守る原則、環境保護の原則、国境を越える保護の原則、次の世代を守る原則、次の世代に不適切な負担を強いない原則、国家法体系に組み入れる原則、放射性廃棄物の発生を抑制する原則、放射性廃棄物の発生及び管理の各段階の相互依存の原則、廃棄物管理施設の安全を保証する原則)を東電が遵守するよう、厳しく監督する必要がある。
具体的にはまず、核燃料デブリの取り出しにより起こり得る二次汚染について、東電は関連国際条約及び規定を厳守し、核燃料デブリの取り出しから処理までの全プロセスの監督管理を強化し、放射性廃棄物管理機関の臨界問題及び生じる余熱の排除の問題を適切に解消しなければならない。同時に定期的にIAEAに安全状況を報告し、日本政府及び外部機関からの監督と評価を受ける。
次に、核燃料デブリ取り出し中に何度も技術的問題が生じ作業が中断されたことについて、日本政府と東電はロボットや核防護などの技術分野の研究開発費を増やし、より有効な処理案を出すべきだ。
最後に、核燃料デブリの処理が長期的な取り組みになることを考慮し、東電と日本政府は30−40年という予想処理期間を調整し、100年を基準に長期的で持続可能な計画を策定・実施するべきだ。国際機関と周辺諸国を含む、効率的で透明な監督管理・意思疎通・調整メカニズムを形成し、日本が福島原発事故の善後処理を適切に行い、環境回復を実現できるという国内外の人々の信頼を取り戻すべきだ。こうして初めて次の世代に「美しい地球」を残すことができる。
(筆者=劉久・哈爾浜工程大学人文社会科学院教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年11月15日