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japanese.china.org.cn |19. 12. 2024 |
心をつなぐ「神戸と中国」写真コンテストに響く日中音楽家の共演
文=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
写真=神戸大学北京同窓会が提供
12月15日、小春日和に恵まれた北京の在中国日本大使館にて「神戸と中国」写真・キャプションコンテスト記録誌感謝会コンサートが金杉憲治大使を始め各界の来賓およびコンテスト受賞者等の出席のもとに開催された。今回のコンサート開催のきっかけとなった「神戸と中国」写真・キャプションコンテストは、1972年に日中国交正常化がなされた後、第一号となった神戸市と天津市の友好都市提携50周年と日中平和友好条約45周年を記念し、昨年末に神戸大学北京同窓会の方々が企画し日本企業、神戸市等の協賛・後援のもとに開催された官民一体の手作りの日中友好イベントである。筆者も祖国懐かしむ共通の思いを込めた日本居酒屋の写真を応募し、光栄にも神戸市賞を受賞させて頂いた。
同写真コンテストは神戸の魅力を代表するものとして「海と山と夜景の神戸」、「神戸の中華街」、「医療産業都市神戸」、「神戸ビーフ」のテーマが設定され、それと相通ずる中国の写真を撮影しキャプションとして撮影者の思いを一言添えるもので、両国の民間レベルの相互理解を促進しようとの智慧が込められている。四川省、天津市、北京市などから98名の参加者による111作品の応募があった。今回はその受賞作品43点が再び会場に展示されると同時に、記念誌には応募全作品が収録され参加者に贈呈された。神戸大学北京同窓会総代表徐一平氏の話によると、同コンテストには北京日本人学校および長年に渡り日本語を第一外国語として教える北京市月壇中学の協力を得て、多くの学生たちが参加しており、中国で生活する子供たちの視点から見える中国の魅力も大きな見所の一つであった。
写真は対象物をあるがままに映し出してくれる。しかし、対象物をどのような視点で撮影するかは撮影者の心のファインダーの感度次第だ。会場に展示された入賞作品の数々を眺めながら撮影者の心情や詩心を探ることで撮影者との心の対話を楽しみながら自然に相互理解を深めることができる。
同イベントでは前半部分にて神戸大学北京同窓会の大山栄治氏より、受賞全作品および最優秀賞受賞者の王宣麟氏(神戸出身)の「みんながどこにいても平和に暮らせる世界となるように微力ながら今後も尽力していきたい」とのメッセージが紹介され、一年前の写真コンテストの感動と熱気が再び会場に広がった。
後半部分では国際的に活躍するピアニスト・瀬田裕子氏、ホルン奏者・宮谷建志氏、ソプラノ歌手・樊喬木氏の三名の日中音楽家の協演によるコンサートが行われた。ピアニストの瀬田裕子氏は阪神淡路大震災後に今は亡き中国人ヴァイオリニストのご主人と一緒に被災地の仮設住宅を訪問しコンサートを行った際に、グランドピアノに代えて電子ピアノで演奏を行い、表情を失った観衆が徐々に表情を取戻し生きる支えとなることが出来たエピソードを紹介し、自身がピアノ演奏用に編曲した中国古典音楽「梁山伯と祝英台」などの曲目を渾身の電子ピアノ演奏により披露した。三氏の共演に会場の拍手はやむことがなく、アンコール共演として披露された日本童謡「赤トンボ」では、樊喬木氏の美しい日本語の歌声がピアノとホルンの音色と響きあい、最後は観衆と一体の大合唱となり会場全体が深い感動に包まれた。
中国にとって世界に門戸を開く最初の友好都市となった神戸市と天津市との提携は、1973年6月、神戸市長が訪中し、周恩来総理に提案を行い締結された。その前年10月にも周総理は神戸市長と北京で面談し、神戸市長からの友好都市の提案に賛成し、かつて自身が日本留学から帰国の際に神戸・天津港間の航路を利用したことに触れ、天津市を提携先に推薦したという(コラム「北斗七星」より)。記録誌に寄せられた周総理の母校・南開大学教授劉雨珍氏の祝辞には「国の交わりは民の親しむに在り、民の相親しむは心の相通ずるに在り(国之交在于民相親,民相親在于心相通)」との中国思想家・韓非子の言葉が紹介され、中日両国の青年や学生達が輝かしい人生を歩み、手を携えてより良い未来を切り開いていくことを心から願う、と綴られている。これは今回の「神戸と中国」写真コンテストおよびコンサートに携わった日中の人々のすべての思いを代弁するものに思えてならない。神戸大学北京同窓会の方々の日中両国の民衆の心と心をつなぐ工夫に富んだ草の根の取り組みに心から敬意と感謝を表したい。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年12月19日