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japanese.china.org.cn |11. 02. 2025 | ![]() |
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小林正弘氏の春節紀行①-小桂林·崇左の絶景と人々とのふれあい
文・写真=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
故郷へ帰省し家族や親戚と過ごすのが伝統であった春節も、交通手段の発達に伴い旅行先で過ごす人も多くなった。我が家も春節(旧正月)の迫る1月末、義父義母、娘を含む家族5人で広西チワン族自治区·崇左市を訪れた。北京から広西の中心都市·南寧市の南寧呉圩(ごきょ)国際空港まで飛行機で3時間半程、空港でレンタカーを借り、ベトナムとの国境付近にある崇左市龍州郊外のホテルに到着した頃にはすでに日が暮れていた。
崇左の山々の奇景
次の日の朝、目が覚めて外を眺めると、周囲の壮大な奇景に圧倒され、自分が山水画の中に迷い込んだような錯覚を覚え言葉を失った。眼前にはサトウキビ畑が広がり、遠方には筍のような山々が連なり、所々に農作業の煙が上がっている。中国最新AIアプリ·DeepSeekの説明によると、崇左の山の奇観は、2億年にわたる岩石の堆積、数千万年の地殻隆起、そして数百万年の溶食作用が共同して作り上げた結果であり、その奇景形成は今もなお続いているとのこと。ここでは都会での慌ただしい生活を忘れ、悠久の時の流れの中に身を置くことができる。
午前中は周囲に迫る山々と泉を囲む遊歩道を散策し、チワン族の伝統工芸品や生活を紹介する図書館でゆっくりとした時間を過ごし、午後には龍州県中心部にある旧フランス領事館を訪れた。この領事館は、清仏戦争(1883年~1885年)の講和条約締結により龍州が貿易港とされた後、1896年に設立された。ここには当時の帝国主義列強諸国による侵略とその後の近代通商史などを説明した展示の他、中仏芸術家が龍州の美しさを表現した作品を展示する国際芸術館があり、歴史を忘れずに文化交流を通じて友好の絆を深める大切さを学ぶことができた。歴史の趣を伝えるフランス様式の建築物は若者に人気のフォトスポットにもなっている。
龍州の巨大粽
その後、麗江の景観を眺めつつ市街地を散策し、休憩先のスイーツショップの店長が薦めてくれた「龍州人」というレストランで夕食をとることにした。お店に入ると店員総出で春節用の粽作りの真っ最中であった。崇左の粽は普通の粽より3倍程大きい。このレストランの五代目となる女性店長は手際よく巨大粽を巻き上げながら熱心に作り方を説明してくれた。脂がのった豚肉を中に入れ10時間ほど煮込むと脂肪が完全に溶けてもち米や緑豆に染み込み、豚肉も自然に解れるほど柔らかくなるという。魚や鳥など現地の素材を使ったスパイシーな龍州の郷土料理はどれもとても美味しかった。北京に比べると料理はボリュームがあり、しかも価格はリーズナブル。巨大粽に私の胃袋は悲鳴を上げていた。
徳天瀑布
次の日は、まずベトナムと中国を跨ぐアジア最大の大滝·徳天瀑布を訪れた。徳天瀑布の水流は雨季(6月から10月)に比べるとかなり少なめとのことであったが、約100メートルにわたり幾つもの滝の支流が落差70メートルを滔々と流れ落ちる雄大な風景に魅了され、時間も忘れて写真撮影に没頭してしまう。観光コースが整備されており、様々な角度から滝を眺めることができた。ベトナムコーヒーなどベトナムの特産品を扱うお店も沢山あり、じっくりと見て回りたかったが、次の目的地である小桂林と呼ばれる明仕田園へ向かった。
夕暮れ時に明仕田園に到着すると、筏に乗って崇左の山々の奇景と田園風景をゆっくりと鑑賞しながら、一緒に搭乗しているガイドの女性との会話が弾む。以前、山が多いため、この地域は耕作に適さず現地住民の生活も大変であったが、現在は自然環境を活かした観光業や民宿経営などによって農村経済が発展しており、高級な民宿ほど予約が取りずらいと聞いた。ガイドの明るい表情に現地住民の生活が以前に比べて豊かになっている様子が伺えた。筏を降りて少し歩くと沈みゆく太陽に照らされる山々が湖面に映り込み刻々と色彩が変化していく絶景に出会うことができた。夢のような景色を写真に収め、次なる目的地である北海へ向かった。
崇左の山水の絶景
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年2月11日
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