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japanese.china.org.cn |11. 02. 2025

小林正弘氏の春節紀行②-北海の海鮮と文化融合の街めぐり

タグ: 春節 観光 広西 南国 北海
中国網日本語版  |  2025-02-11

文・写真=小林正弘

清華大学法学博士 

Genuineways Law Firm パートナー

1月下旬に春節休暇を利用して、家族で広西チワン族自治区のベトナム国境付近に位置する崇左市を訪れた後、中国で「天下第一の銀の砂浜(銀灘)」と称される北海に向かった。ベトナム国境付近の崇左市から高速道路で西へ350キロほど車を走らせていると、内陸部の山岳風景からヤシの木が並ぶ南国の海岸都市へと景色が移り変わって行った。

ホテルのチェックアウトを済ませ、夕食のレストランを探しに「橋港風情街」という海鮮美食街に向かった。橋港という名称は1979年にベトナムから排斥された華僑難民がこの地に安住し、現地の漁業経済の発展に寄与したことに由来するようだ。歩行者天国となっている美食街には海鮮市場、海鮮料理、ベトナム料理、スイーツなど扱う出店や店舗が数百件ほど林立し、大勢の人で賑わい、人気店の前には行列が出来きている。

漁港に近いため、海鮮は新鮮で、価格もすぐ隣の海南島に比べて半額以下だ。我が家も最初は人気レストランで席の順番待ちをしていたが、待ちきれず、海鮮料理をテイクアウトして急いでホテルに戻り春節の特別番組·春節聯歓晩会を見ながら海鮮の美味を味わった。

次の日は、普段は自然と触れ合う機会の少ない娘からの希望を実現するため、銀灘付近での潮干狩りを楽しんだ。マングローブの茂る広大な湿地帯には多くの家族連れが訪れており、砂浜の中に潜む蟹や貝類などを見つけるごとに歓声が聞こえてくる。娘が潮干りに満足した頃合いを見て、漢代から海のシルクロードの起源となった港の一つであり、19世紀末には西洋列強の圧力により貿易港とされ、中国と西洋の文化が融合した建築群が見られる「北海旧街(老街)」を訪れた。

この旧街は1.6キロに渡り、外見的にはバロック様式などの西洋建築が連なっているが、その中には雨の多い現地の熱帯気候を考慮して建築当時から一階部分は雨除けとなるように連続した歩道スペースを設けるなど現地の嶺南文化と融合した建築様式となっている。その歩道スペースを進んで行くと店頭で牡蠣剥きをしながら牡蠣1個1元(約20円)、小アワビ1個2元(約40円)を目玉商品にしている海鮮レストランやエビ餅専門店などが至る所で活気ある客の呼び込みをしており、多くの観光客や現地市民が一階部分の店舗で買物や食事を楽しんでいた。かつてイギリス、フランス、ドイツなどの領事館、貿易会社や教会などが設立され海洋貿易で栄えた街は、その後の港移転や戦争などによって20世紀中期に廃れてしまう。しかし、現在は当時の面影を保存し、歴史情緒に溢れ庶民に親しまれるレトロな美食·文化街へと見事な変貌を遂げていた。

北海での最終日は若者に人気の新農村·流下村を訪れた。ここは300年以上の歴史をもつ古村であったが、その伝統ある素朴な村民の住居を活かしながら、現代的なアート感覚も取り入れて街並みの改造が行われていた。現地文化を実際に体験できる工芸品店、北海特産の真珠や貝殻のアートが楽しめるアクセサリーショップ、落ち着いた雰囲気のベトナムカフェなど個性的な店舗も多く、散策するだけでもとても面白い。そして路地裏の静かな農村風景は癒しの空間を提供してくれる。お店の従業員も若い人が多く、若者の感覚が農村経済発展の原動力となっているように感じられた。

我が家はDIY伝統工芸ショップにて家族三人で相談しながら配色を決め、扇子を水中に沈めて色染めを行った。北海で見つけた世界で一つだけの土産を手に北海の夕日を眺め帰途についた。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年2月11日