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japanese.china.org.cn |28. 02. 2025 | ![]() |
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北京郊外の「汚染ゼロの村」で本格ピザを味わう=小林正弘氏
文・写真=小林正弘
清華大学法学博士
Genuineways Law Firm パートナー
「北京郊外の村市場でとても美味しいピザが食べられる」との情報を妻が動画アプリで入手し、2月初旬に北京市内から北へ40キロ、車で1時間ほどの位置にある昌平区の辛庄村を訪れた。山並みや畑の風景を楽しみながら道路を進むと、村の市場を知らせる多くの旗が見えてきた。空き地を利用した駐車場はすでに多くの車で埋まっており、車から降りると勢いのよい太鼓の音が聞こえてきた。村人は鮮やかな村人服に身を包み、熱心に呼び込みをしている。村の一本道の両脇とサッカーグランド程の特設市場スペースには、沢山の出店が立ち並び、炊き出し、生きたアヒルへの輪投げなどが大勢の人を惹きつけて大賑わいだ。村の市場は衛生面が少し心配だったが、ごみ捨て場も分類がなされており、ごみも落ちておらず、村全体に清掃が行き届いるようだ。立派で清潔なトイレもあり、とても驚かされた。
お昼時に到着した私達は一目散にピザ屋に向かいピザを2つ注文したところ、すでに売り切れ寸前であり、受取までの待ち時間は2時間と告げられた。待ち時間を利用して出店を見て回ると、単なる骨董品や特産品だけではなく、自らデザイン・作成したアクセサリー、毛糸の帽子、漆細工、書画、現地栽培の新鮮有機野菜など、若者を挽きつける魅力的な商品が手頃な値段で提供されており、普通の農村市場の雰囲気とは全く違う。通りの両脇の立ち並ぶ工房・アトリエ、カフェ、民宿、レストランの設計デザインは中国の伝統要素と現代的な感覚が程よく調和しており、この村での生活の楽しさが伝わってくる。
実はこの村は2016年に村人がごみ分別リサイクルへの取り組みを始める以前は、村の敷地内にゴミ捨て場を掘って埋め立てを行っていた。しかし、ゴミの増加によるゴミ埋め立て場所の確保が難しくなり、また悪臭漂う汚染された土地は農地としても住宅としても使えないという深刻な問題に直面していた。そんな中、2016年6月から村人が自主的にゴミの分別、清掃活動に取り組むようになり、その2年後には9割近くの村人がゴミ分別に取り組み、毎日排出される1.2トンのゴミの80~90%がリサイクルされるようになった。辛庄村のゴミ分別リサイクル運動には環境保護基金やクラウドファンディングによる募金や専門技術支援にも支えられ、2000人の集落がわずか数年で「汚染ゼロ」の模範村へと生まれ変わった。その取り組みはモデルケースとして全国的にも注目されている。
村人の心の変革と粘り強い取り組みが、更なる共感と支援を生み、村の生活環境が大きく改善された。良質な環境と低廉な賃貸料などによって、多くのアーティストがアトリエなどを構えるようになり、村の建設にもアーティストや各業種の企業家などの意見が活かされている。村では定期的にミニ音楽コンサート、ミニ絵画展、市場などが開催され、都市部で忙しいビジネスライフを送る市民にスローライフの楽しさと心身ともにリフレッシュする癒しのひと時を提供するオアシスとなっている。
約2時間後、購入したピザを見に行くと、作りたての生地にトッピングをしてアウトドア用炭火オーブンで焼くところであった。太陽に照らされて、村の中で食べるピザの味は格別だ。ピザ屋で働く店員の話しを聞くと、本業は村で営む体験学習教室とのこと。報道によると、辛庄村には現在、170社を超えるクリエイターが集まり、業態は飲食業、民宿運営、芸術活動など多岐にわたる。年間の村の賃料収入は数千万元(約数億円)に上り、週末毎開催される村の市場は、一日平均5,000人以上の来場者を引き付け、約200万元(約4000万円)相当の消費を促進している。村人の心の変革が環境を変え、地域に活力を生む奇跡のドラマは現在も進行中だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年2月28日
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