メーデー5連休中に中国の観光市場は活況を維持し、「すべての都市に1億人が来た」などのキーワードが再び、国内の各大手SNSを席巻した。国内観光市場の好調ぶりは、中国の文化観光産業チェーン及び関連経済分野の十分な強靭性と大きな成長の余地を再び浮き彫りにした。

　また複数のリアルタイムデータ及び研究報告書によると、今年のメーデー連休中に中国県域観光市場の伸び率が1・2級人気観光都市を大きく上回った。報告書によると、安吉、桐廬、都江堰、陽朔、弥勒、義烏、婺源という人気県域観光目的地の観光予約が平均で36%増加した。観光予約の前年同期比の伸び率は全体的に、1・2級都市が3・4級都市を下回り、3・4級都市が県域市場を下回った。これは消費者が県域観光というスタイルでより質の高い連休を求めることが、今年の観光市場における顕著なトレンドになっていることを意味する。

　大都市と異なる、県域観光のコストパフォーマンス面のメリットは主に次の通り。

　（一）移動中もしくは都市での交通のいずれにおいても、県域観光の交通のストレスは大都市を大きく下回る。

　（二）県域観光の宿泊費や食費は1・2級都市を下回ることが多い。県域文化観光施設の高度化やサービスの改善が近年、すでに一つの流れになっている。東北から西南まで、5つ星もしくは4つ星レベルのホテルと高基準飲食が、県域観光で標準化している。県域観光の受け入れ能力の向上は、宿泊及び散策の体験をしっかり改善した。質の高い県域観光にお金を出そうとする観光客が増えている。

　（三）「リラックス」を目的とする連休旅行がノーマルになっている。観光が徐々に一種のライフスタイルになる中、人々の「遠出」や「見聞」への認識も変化している。かつての遠出は「遠征」の心理で、最も繁栄し、最も賑やかで、最も有名なスポットがその最も中心的な理念だった。現在の連休は平日の仕事のストレスを解消する重要な手段だ。環境とテンポを変えて心身ともにリラックスすることこそが「旅行の意義」だ。目的が変われば終点も自ずと変わる。そこで観光客は小さな農村や町に回帰し、山里や畑を歩き回り宿泊することで田園に親しむ。よりリラックスしレジャーを楽しめる県政府所在地がより良い選択肢だ。

　（四）県域文化観光資源の独特な個性は、見落とされがちな重要な理由だ。県域観光は商業化が遅れ、土着の雰囲気が濃厚だ。地方色がもたらす新鮮な感覚、他にはない生活のゆとりが魅力を高め合い、観光客により大きな充足感をもたらす。

　（筆者＝張鵬・上海外国語大学国際工商管理学院准教授）

　｢中国網日本語版(チャイナネット)｣2024年5月7日