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japanese.china.org.cn |06. 08. 2024

外国人にディープな体験を

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人民中国  |  2024-08-06

 「ウェンディは次いつ来る? 」「半年経ったから、中国への旅費が十分に貯まっただろう」。中国のネットユーザーが話題に上げる「ウェンディ」とは、中国のスタンダップ・コメディアン張踩鈴さんのカナダ人の義母のことだ。 

 昨年初頭に中国でインバウンドが再開された頃、ウェンディさんは親族訪問目的で人生初の中国旅行に出掛け、北京を訪れた。初めての故宮や胡同が興味深かったのはもちろん、公園の鉄棒や平行棒などで体操の技を披露する高齢者の姿が印象深かった。その半年後、ウェンディさんは2人の娘を連れて再び中国に来た。彼女たちは張踩鈴さんに各地を案内してもらい、四川省の成都ではパンダを見、広西チワン族自治区桂林の陽朔にある遇龍河では竹いかだで川下りをし、内蒙古自治区ではデール(蒙古族の伝統衣装)を着て、他にも漢服体験を楽しんだ。そして中国が大好きになった。今年1月にウェンディさん一家は再び中国の土を踏み、今度は今年の正月シーズンで一番人気だった観光都市ハルビンを訪れ、有名な観光スポットに行ったほか、ウェンディさんは地元の習慣に従って銭湯であか擦りを体験した。 

 ウェンディさん一家の中国旅行から、昔から人気の観光スポットの魅力に加え、中国の文化や中国人のゆるやかで生き生きとした日常を体験することも、外国人観光客の訪中理由になりつつあることが分かる。 

旅行ニーズの多様化 

 中国観光研究院が昨年実施したインバウンド観光客の満足度に関する特別調査によると、中国文化の体験が主な目的という回答が6割以上を占めた。また、中国最大のオンライン旅行会社の携程旅行(Ctrip)の今年第1四半期の統計によると、外国人観光客に人気の観光スポットで、黄鶴楼、拙政園、恭王府、秦始皇帝陵博物院、故宮博物院などが上位にランクインしているほか、上海トランスラピッドや広州タワーなど中国の近代的な様相を示す観光スポットもトップ20に入っている。他にも、予約サイトで漢方マッサージやフットマッサージなどを注文する旅行に慣れた外国人観光客もいる。これらのデータから、外国人観光客の中国文化体験は悠久の歴史に限らず、旅行中に中国人の生活に深く入り込みたいことがうかがえる。 

 衆信旅游集団の寧国新副社長は、「調査データによると、北京―上海―西安―桂林というゴールデンラインおよび中国料理が 依然として多くの外国人観光客に興味を持たれています。中国の科学技術の発展も関心が高いコンテンツです。高速鉄道での旅行を希望する観光客もいます。私たちにとって当たり前の高速鉄道などの技術が、外国人観光客にとって思いがけない魅力を持っているのです」と説明する。30年以上観光業に携わってきた上海のツアーガイド陳君君さんも、これまで外国人団体観光客は豫園、外灘、東方明珠タワーといったランドマーク的な観光スポットに行くことがほとんどだったが、今は蘇州河沿いを散策したり、「梧桐エリア」で古い洋館を見学したりするなど、マイナールートを注目するようになったと語る。 

地元の市場いちばにも魅力たっぷり 

 外国人観光客がよりディープな体験に興味を持つようになり、中国の旅行業界もツアールートに工夫を凝らしている。 

 写真以外に、観光客に何を残せるか。これは上海目的地国際旅行社が観光コースを企画する際に考えていることだ。「外国人観光客の視点に立って、一体何を体験したいのかを理解しなければなりません」 と鐘瑋総経理がその問いに答えを示した。市場は中国人の生活を深く知る代表的な場所であり、これを切り口に同社は「上海の生活を体験し、中国料理を学ぶ」という半日ツアーを立ち上げた。 

 5月下旬に展示会のために上海を訪れたアイスランド人のグドゥルンさんは、このツアーに参加した旅行者の一人だ。展示会の仕事を終えた後、午後の自由時間を利用して、彼女はツアーガイドと星付きホテルのシェフに同行して広元市場に行った。グドゥルンさんは2018年にも上海を訪れているが、大ざっぱに見た前回と違い、今回の市場の生活感に深く印象を受けた。「中国は何でも大きいので、市場もきっと広くて、人が多くて、雑然としていると思っていました。でもここはとても清潔で、秩序よく整理整頓されています。アイスランドは人口が少なく、私が住んでいる町には2万人しかいません。そこではこのようなにぎやかな体験はできません」。市場を散策して食材を選んだ後、グドゥルンさんはシェフから小籠包や揚州チャーハンの作り方を学んだ。中国人が普段何を食べ、上海料理をどう作るかを知ったグドゥルンさんは、帰国後に娘と母親に中国料理を振る舞うつもりだと言った。 

ソーシャルメディア時代の旅行 

 外国人観光客の旅行ニーズの変化には、ソーシャルメディアが大きく関係している。中国が打ち出した一連の入国における利便性向上措置によって、ユーチューブなどの海外の動画プラットフォームで「中国旅行」ブームが巻き起こっている。100万人のフォロワーを持つ旅ブロガーが中国旅行動画を投稿しているだけでなく、旅行コンテンツとは無関係の一部のブロガーもアクセス数を増やすために、訪中して観光体験をシェアしている。これらの動画のコメント欄には、「中国は私の夢の国だ」「中国は私の行きたい国リストに入っているので、絶対行く」などのコメントが並んでいる。 

 海外ブロガーのさまざまな着眼点によって、そのフォロワーたちも中国に対して従来の観光都市のイメージを捨てつつある。情報へのアクセスが多様化してきたソーシャルメディア時代、中国関連の人気動画に登場した交通手段、漢服、ユニークな建物などを目当てに中国への旅に出る人が増えるだろう。旅先でより魅力あふれる中国を発見し、その発見をソーシャルメディアでより多くの人にシェアしてほしい。 

「人民中国インターネット版」2024年8月6日