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japanese.china.org.cn |06. 08. 2024

環境整備でより気軽な訪中

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人民中国  |  2024-08-06

 経済と消費を観察する重要な窓口として、旅行市場の熱気は中国経済の活気と消費市場の大きな潜在力を反映している。 

 先述したように、山東省淄博市の串焼きバーベキューや貴州省榕江県の「村超」などは昨年の国民的な話題になっただけでなく、国内旅行消費の急速な回復を示す代表的な現象でもあった。今年に入っても、中国の旅行消費は依然として好調である。中国文化・観光部の統計によると、今年第1四半期の国内旅行消費総額は1兆5200億元に達し、先日の端午節(6月8~10日)連休中の国内旅行者数は前年同期比6・3%増の延べ1億1000万人、国内旅行消費総額は前年同期比8・1%増の403億5000万元だった。 

 国内旅行だけでなく、海外旅行の人気も上昇中だ。新型コロナウイルス感染症拡大以前、中国は世界最大のアウトバウンド観光市場でありながら、外国人観光客に人気の旅行先の一つでもあった。昨年2月以降、中国が出入国利便性向上政策と措置を相次いで打ち出し、中国人観光客がどんどん「海外に出る」と同時に、中国旅行も世界の最新トレンドとなっている。「互いに行き合う」中国と海外の観光客は、世界の観光産業の発展を効果的に促進するだけでなく、世界経済の回復にも弾みをつけている。 

春節のタイ人気の理由 

 今年の春節(旧正月)休暇は8日間(2月10~17日)で、昨年2月6日に中国人の海外団体ツアーが試験的に再開されてから、最も長い連休となった。時間に余裕ができたため、多くの人が海外での年越しを選んだ。文化・観光部の統計によると、春節休暇中に海外を訪れた旅行者は延べ約360万人に達し、タイ、日本、マレーシア、シンガポール、ベトナムが人気の海外旅行先トップ5だった。 

 中でもタイの人気が最も高かった。タイ国政府観光庁の統計によると、春節期間中、タイを訪れた中国人観光客は延べ21万1300人、前年同期比366%増の62億1300万バーツ(約273億7000万円)の観光収入をタイにもたらし、平均消費支出も2019年に比べて15%増えた。少人数ツアーやディープツアーは、中国人のタイ観光の新たなトレンドとなっている。 

 タイが中国人観光客の人気を集めているのは、ビザの相互免除という行き届いた政策と深い関係がある。今年1月2日、タイのセター・タビシン首相兼財務相は閣議後、中国とタイ両国が3月1日から永久にビザを相互免除する入国政策を実施すると発表した。このニュースが流れると、中国の旅行サービスプラットフォームでタイ関連トピックが爆発的に盛り上がった。携程(Ctrip)では、タイ関連のキーワード検索数が1時間前に比べて90%以上増加し、上海_バンコク、北京_バンコクなど人気の航空路線の検索数が40%以上急増した。中国とタイのビザ相互免除協定が発効されたことで、両国は正式に「ビザなし時代」に入った。中国人観光客にとって、タイはパスポートがあれば「すぐに行ける」旅行先となり、魅力も当然さらに高まっている。 

 また、携程国際版のタイ向けサイトでは、中国関連キーワードの検索数も増え続けており、上海、成都、ハルビン、しんせん、北京、天津、重慶、張家界などがタイ人が最も検索する都市となっている。携程グループの秦静副総裁は次のように述べた。中国とタイの永久ビザ相互免除協定が締結されたことで、両国の人々の往来が大幅に便利になり、タイ人観光客の中国旅行がさらに促進され、今年の訪中外国人客数(国別)ランキングで、タイがトップ3に入る可能性がある。 

インバウンドのハードル下げる 

 中国とタイの活発な人的往来は、国際旅行の活性化にはまずビザ取得のハードルを下げなければならないことを実証した。世界の人気観光地の一つである中国はビザに関する新しい政策を次々と打ち出し、より多くの外国人観光客を迎えている。例えば、72/144時間トランジットビザ免除措置の適用国を54カ国に拡大、沿海省でクルーズ船による外国人団体観光客のビザなし入国の全面的実施、フランスやドイツなど13カ国に対して一方的なビザ免除の実施などが挙げられる。中国国家移民管理局のデータによると、今年上半期にビザが発給された外国人は前年同期比267・9%増の延べ68万6000人で、ビザなし入国した外国人は同190・1%増の延べ854万2000人だった。 

 外国人の中国旅行のハードルが下がったほか、インバウンド再開後、外国人観光客にとって悩みの種だった決済問題なども、多くの改善が見られた。人民銀行などの金融機関のサポートを受け、商務部、文化・観光部は海外クレジットカード対応環境の整備、モバイル決済手段の充実化、現金使用環境の改善など一連の具体的な措置を打ち出し、金額が多ければカード決済、金額が少なければQRコード決済、現金払いを最後の手段として確保する決済環境を実現した。 

 今、中国の多くの都市ではモバイル決済がより手軽になっている。外国人観光客は海外のクレジットカードだけで買い物や配車アプリの利用ができるようになった。上海を例に挙げると、多くのタクシーにカードリーダーが設置されている。このカードリーダーは国内外のクレジットカードに対応しているばかりか、雲閃付(中国銀聯が開発した決済アプリ)、デジタル人民元、QRコード決済など多くの機能も備えている。車内には目立つ決済マークとサービスの詳しい案内なども用意されている。スマホ決済アプリを持っていない、またはカード決済に慣れている外国人観光客にとってより便利になった。 

 観光サービスの質の向上は、中国がハイレベルの対外開放を実現するための重要な道筋の一つだ。中国と世界各国の人的・文化交流は観光で結び付いて日増しに緊密になっている。世界は広く、五大陸と七つの海があるとはいえ、世界はまた狭くもあり、1日2日のフライトで一周できる。中国から観光客が世界に旅立つとともに、魅力的で活気にあふれる中国もまた世界中の観光客の訪れを歓迎している。 

「人民中国インターネット版」2024年8月6日