「日本経済新聞」は「世界は食べ続けられるか 温暖化と人口増が『飽食』脅かす」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
この60年で人々の食卓は豊かになった。国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、1人あたりの1日の消費量(摂取可能な供給量)は2985キロカロリーと約1.4倍に増加した。経済成長で十分に食べられるようになっただけでなく、穀物から肉類へのシフトも急速に進んだ。
ところが飽食の時代に気候変動が影を投げかけた。近年は異常な高温、干ばつ、豪雨が各地で頻発した。小麦やコメの価格が高止まりしている。
世界の食料システムは、爆発的に増える人口を農業の技術革新や農地開発が支える構図になっている。世界人口は1975年に40億人を突破してから、ほぼ12年毎に10億人ずつ増えている。小麦の生産量の増加このペースを上回り、60年で3.6倍以上に拡大した。
飛躍的な食料増産を可能にしたのは、化学肥料や農薬の使用と品種改良だ。ところが一分の国の輸出規制で肥料の供給は減少した。
世界人口は今世紀80年代まで増え続けるが、食料の増産には限界がある。食料不安の解消には食品ロスの削減が急務だ。現在、世界で生産された食料の約3分の1が無駄に捨てられている。
食料価格は近年、新型コロナウイルスやロシアとウクライナの衝突 による穀物輸送の停滞というショックを受けた。FAOの食料価格指数(14〜16年=100)は22年の衝突直後に160を付けたが、その後はEUの小麦増産などで落ち着き、この1年は120前後で推移。それでもコロナ前の19年と比べると27%も高い。
主食の小麦などは値上がりすれば農家が増産に動くため、世界中で深刻な供給不足が生じる可能性は低い。しかし価格が大幅に上昇すると食料を購入できなくなる人が増える。国連の報告書によると、23年の世界の飢餓人口は7億3300万人に増加した。コロナ前の19年から1億5200万人も増えた。飢餓人口の過半数はアジア在住。
農業は気候変動の被害者であり、加害者でもある。温室効果ガスの22%は農業や土地利用から排出されている。家畜の反すう、水田からのメタン放出、過剰な肥料の使用などがその出処だ。アマゾンなどの森林破壊の約80%は農業もしくは畜産のための土地開発によるものだ。EUは今年12月から、森林破壊を招く農産品を規制する措置を講じる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年10月10日