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第5章 経済建設と企業
5-6 問 市場競争秩序を維持するために、「独占禁止法」の制定と審議を進めているといわれるが、この法律を制定するのはなぜか。主にどんな内容が盛り込まれるのか。

答 国際的に、「独占禁止法」は「経済憲法」と言われている。現在、「独占禁止法」を公布した国は80数カ国を数え、一部の国では、独占禁止に関する立法は百年余りの歴史がある。06年6月24日、中国政府が制定した「独占禁止法(草案)」は初めて全人代常務委員会に審議のため提出された。

中国がこの法律を制定した理由は、計画経済から市場経済へ転換する過程で、「不正競争防止法」や「価格法」、電信条例などの法律や法規、規範化された文書を相次いで制定することで、競争を規制する行為に対して規定を設けたものの、独占的な行為の防止と禁止に関する法律はなく、一部の地区や業界で独占の兆しが現れてきたことから、市場経済の発展と国際競争に参与する必要性に影響が出てきたためだ。また、国家行政機関や公共事務を管理する職能をもつ機関が行政権限を乱用し、程度の差はあるが、競争を排除したり規制したりすることがある。そのため、市場経済国として、比較的完備した独占禁止の法制度を確立して実施することで、内外からの独占的行為を防止し抑制し、市場経営者に公開された透明で予期できる行為準則を提供することで、市場経済秩序を適正化し、国民経済の健全かつ持続的な調和の取れた発展を保証しなければならなくなったからだ。

全人代常務委員会が初めて審議した「独占禁止法(草案)」は全部で8章、56条からなる。主に独占禁止協定や市場での支配的地位の乱用の禁止、経営者集中への制限の3大制度と、行政権限の乱用による競争を排除し、制限する行為に対する処分、独占禁止機構と法的責任などについて規定している。

中国では独占協定は、最もよく見られる最も典型的な独占行為である。独占協定が競争に直接的に害を及ぼすことから、「独占禁止法(草案)」は「原則禁止、条件付き許可」という考え方に準じて、さまざまな独占協定を明確に禁止する一方で、一部の競争を制限するが、相対的に技術の進歩や経済の発展、社会の公共利益にプラスとなる一部の協定については禁止しないとしている。

このほか、草案は経営者が競争を通じて市場での支配的地位を得ることは禁止していないが、例えば独占的な価格や取引の拒否、取引の強制、抱き合わせ販売、取引条件での差別的待遇などを実行することなど、経営者がその市場での支配的地位を乱用して競争を排除し、制限する行為は禁止するとしている。こうした規定は大企業の存在と発展を妨げたり、制限したりすることはなく、また経営者の市場での支配的地位の乱用や競争を損なう行為を効果的に規制することができ、公平な競争という市場環境を整備して維持し、消費者の権益を保護する上でプラスとなる。

経営者集中に対して必要な制限を加えることは、各国の「独占禁止法」にも見られることだ。制限する主要な手段は、経営者に対して事前または事後の届出制を実行するとともに、独占防止法執行機関が審査して許可するかどうかを決定する。「独占禁止法(草案)」は中国の実情に即して、経営者集中の届出基準を定めており、一般的な業種と分野の届出基準は、集中に参加するすべての経営者の世界範囲の前年度売上高が120億元を上回り、しかも集中に参加する経営者の1人の経営者の国内での前年度売上高が8億元を上回った場合としている。銀行や保険など特別な業種の届出基準については別途に制定することにしている。

独占禁止の法律執行に協調性をもたせ、統一性と公正さ、権威性を確保するために、草案は同時に国務院に、政府関連機関で責任を担う官僚や法学者、経済学者で構成する独占禁止委員会を設立することを明確にしている。独占禁止作業を組織して指導し、国の独占禁止政策を検討するとともに、国務院に提言して重大な独占禁止案件の処理や独占禁止の法律執行機関の作業などを協調して行うのが主要な職責である。

 

「チャイナネット」2008年3月

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