答 科学研究活動の不正行為に対しては、多くの国が専門機関を設置して、専門的な処分を行っている。ここ数年来、科学技術事業が発展して大きな成果を収めるに伴い、同時に科学技術界にある程度、目前の功利を求めたり、うわついた風潮があったり、成果の数を重視して質を軽視したりする傾向があるのは確かだ。極めて少ないが、ねつ造や盗作など、科学の道徳に著しく背く行為も見られる。 科学研究への信頼を損なう行為が相次いだことで、科学技術界はこれまで以上に早急に信頼を取り戻さなければならなくなった。このため、科学技術部は06年12月に「国家科学技術計画の実施における不正行為の処分弁法(試行)」を公布し、07年1月1日から施行した。政府が科学研究の不正行為に対応して制定した初めての条例であり、科学研究活動で腐敗を誘発する土壌を一掃し、うわついた学術界の不正の風潮を正し、科学研究での不正行為を法に基づいて調査し処分するのが目的だ。 規定では不正行為として、関係者の職名、略歴、研究基礎などで虚偽の情報を提供する、他者の研究成果を盗作・剽窃する、研究データを捏造・改ざんする、人体にかかわる研究で、情報を知らせることに同意する、プライバシーを保護するといった規定に違反する、動物実験の保護に関する規範に違反する、などの5項目を挙げている。また、国家科学技術計画の実施過程で上記の行為を行った者は、警告する、一定の範囲で戒告する、期限つきで改善命令を出す、過失を記録する、国家科学技術計画プロジェクトに関する申請と実施、経費の受領を一定の期間禁止する、降格する、解任する、除名するなど、10項目の処罰措置を受け入れることになる。 市民に簡単かつ迅速に通報、相談してもらうため、政府は6部門からなる「科学研究の信頼確立連合会議制度」を作り、全国の信頼確立を指導し、重要な政策の制定を検討し、関連する政策と重要な作業の着実な実施を督促し、協調性を図ることにした。同時に、科学研究の不正行為に関する通報を受理し、調査・処分を行う科学研究信頼確立弁公室を設置した。このほか、科学研究は複雑な活動であり、研究の真偽が時に判断しにくいこともあるため、外国人専門家を含む15人の専門家で構成する査問委員会を発足させた。同委員会は不定期に全体会合を開き、科学研究への信頼確立や、重大な影響があり、または疑惑のある不正行為の摘発について、意見を提出または公聴会を開くことにしており、科学的実験による検証が必要な場合には実験も実施する。 科学研究活動の不正行為の是正は、国際的な難題となっている。近・現代科学史上では、主観的な原因による「冤罪・誤判断」が数え切れないほど多く、取り返すことのできない数多くの科学的悲劇が起きた。こうした問題の発生を避けるため、政府は関連する一連の法規を制定し、学術不正行為の通報の受理、調査、処分はすべて法に基づいて行うよう努めている。 「チャイナネット」2008年3月 |