6回目の世界自殺予防デーとなる9月10日をひかえ、北京市衛生局の趙春恵・副局長は4日、「中国では年間約25万人の自殺者がおり、自殺未遂者は約200万人に達する。その約半分が抑うつ症をかかえている」と指摘した。「北京晩報」が伝えた。
今年の自殺予防デーのテーマは、「グローバルな思考、全国規模の計画、地方に根付いた行動」。自殺という社会現象に人々の目を向けさせ、自殺の発生を減らす目的だ。世界保健機関(WHO)の統計によると、世界では10万人のうち14.5人が自殺によって命をおとしている。
趙副局長によると、人類社会に古くから存在する自殺は一種の社会現象ともいえる。その原因は▽精神疾患▽身体疾患▽人格的特徴▽心理的原因▽家系の自殺歴▽家庭や個人がおかれている環境――など多岐にわたる。自殺は、人々の精神の健康状態を示す重要なシグナルだ。医学的にみると、自殺で亡くなる人のうち、約半分が抑うつ症を抱えている。抑うつ症を持つ人がさらに、疼痛を伴う心臓病などの慢性疾患にかかったり、ガンなどの重い疾患にかかったりすれば、自殺の危険性は増すことになる。また顔が傷ついたり奇形に生まれたりてんかんにかかったりした人や、身体機能の損傷で他人を頼らざるを得なくなった人などは、将来を悲観して絶望し自殺を試みる可能性が高い。
「世界にはまだ、自殺を予防することができるような薬はない。だが焦点を定めた危機介入などを通じて、自殺の発生を減らすことはできる」。趙副局長は、楽しく寛容で調和の取れた社会環境を作り出し、人々の精神の健康を促進させることを呼びかけている。北京市は現在までに、回竜観医院に心理危機研究介入センターを設立。またホットライン(8008101117)も開設し、24時間態勢で相談を受け付けている。
「人民網日本語版」2008年9月5日 |