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中産階級の困惑が中国の「青春時代の悩み」を反映
発信時間: 2009-08-02 | チャイナネット

中国では目下、「中産(階級)」という言葉をよく耳にする。個人でいうと、わりと高収入で体裁のとれた生活を送っていることを意味し、社会でいうと、中産階級の増加は中国が「ラグビー型社会」に転換する希望となっている。中産階級は豊かな社会に対する人々の期待を向けられつつも、彼らもまた優雅な外見とは異なる現実的な多くの苦難に直面している。

急激な変化の過程にある中国社会の中で中産階級は絶えず緊張の中にいる。不完全な社会保障システム、急騰する不動産価格、子女の教育費の増加、インフレなどがその緊張の原因だ。中産階級は草の根階級とは違い、住宅や自動車、生活に対してより高い追及をする。子女の教育に関してもよりいい学校を望むため、一種の身分的な焦りに苛まされている。

北京大学社会学部の夏教授によると、中産階級のこういった焦燥感は多くの場合、社会のシステムが整っていないことからくる。多くの中産階級が社会保障や就職、住宅、医療、子女教育などを含む福利制度を十分に利用したいと考えている。保障が充実すれば、中産階級は将来に対してより理性的に判断し、集団意識も高まるだろう。

成熟した社会において中産階級は、貧富の差を和らげ、社会の公平を促進する「安定弁」となる必要があるが、調査報告によると、中産階級はここ数年ある意味で、富に対して憎しみを抱く社会的心理の「身代わり」となってしまっている。

夏教授によると、中産階級は社会の底辺の人々と直接接触する、弁護士や医者、公務員などのグループだ。社会の底辺の人々が裁判を起こしたり、病気をみたり、公の手続きをする場合に接触するのが中産階級の人たちだ。弁護士が裁判で数万元の収入を得たり、医者が数千元の礼金を受けたりすれば、そのすべてが草の根階級の中産階級に対する不満の原因に直接つながり、社会の不公平の原因が中産階級に帰することになる。

実際に、社会分配の不平等は社会の底辺層の利益を損ねるだけでなく、中産階級の発育にも直接影響している。ある経済学者は、中国がここ数年で打ち出した社会分配の調整に関する政策によって、中産階級は貧富の差を調整するための犠牲になるだろうと指摘する。貧富の差を調整する重要な措置のひとつは、収入分配の規範化と税収調整の強化にあるが、中産階級の収入は往々にして最も規範化される対象となる。富裕層は収入の高さが規範化されずに調整から免れられる一方で、中産階級は税収調整の主な対象となってしまう可能性がある。

「中産階級の苦境と悩みは、中国が発展の過程に直面する『青春時代の悩み』を反映した真実の描写だ」と夏教授は話す。こういった問題をどう解決すべきか?それは、もっと多くの人が中産階級となり、改革開放の受益者となればいい。そのためには、社会構造全体の合理化を条件とする必要がある。

「人民網日本語版」2009年8月2日

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