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日本文化の中の桜 無常を感じさせる美観
発信時間: 2012-04-10 | チャイナネット

毎年4月上旬になると、東京は桜で覆われる。東京の人々はみな、近くの桜の鑑賞地に出かけ、つかの間の美を味わう。日本人が桜を愛するのは、その独特の美しさだけではなく、桜が日本人の精神と結合し、日本文化に奥深く入り込んでいるからである。

国民的行事になった桜の鑑賞 

沖縄県は桜の開花が最も早い。しかし桜を鑑賞する習慣はない。北海道の東部と北部も桜鑑賞は盛んではなく、むしろ紅葉の季節の宴会が有名である。これらを除けば、桜の鑑賞は日本の全国的行事となっている。日本人の桜に対する深い愛情は、外国人の想像を超えるものだ。新華社東京支社のそばにある小さな公園に、一本の小さな桜の樹がある。桜のつぼみがいくつか膨らんだだけで、数名の青年たちが樹の下で乾杯をし始める。上野公園では、桜の花のつぼみが膨らんでくると、早速宴会をする多くの人でにぎわい始める。 

桜の原産地は、ヒマラヤ山脈あたりとされている。北半球の温帯に広く分布し、日本では数百万年前にすでに生息していたという。桜は日本で最もよく見られる花であり、日本人から最も愛されている花だといえる。桜の開花時期を予測し、地図上に線を引いていく。これを「桜前線」と呼ぶ。桜を特に愛する人たちは、前線を追うように桜を見に行く。2009年までは気象庁が桜前線の予報を担当していたが、2010年からは民間の気象会社が引き継いでいる。三分咲き、五分咲き、七分咲き、満開、散り始めなどが随時報道される。花の開花状況が逐一報道されるのは、世界広しといえども日本だけである。 

桜の樹は通常、街路や公園、家の庭、土手などに大量に植えられている。これらの地では、桜が満開の頃になると、霞や雲のような光景となる。春になると日本各地の人々が桜の樹の下に集まり、宴会が行われる。 

桜は春の象徴であり、花の代名詞である。和歌や俳句など文学作品によく登場し、現代でも音楽や小説などで多用されている。音楽では、江戸時代の筝曲、三味線などで桜がしばしば題材になってきた。「さくらさくら、やよいの空は、見わたす限り」という「さくらさくら」は、中国でもよく知られている曲だ。日本の古い民謡と紹介されることが多いが、実際は江戸時代末期に筝の入門曲として作られたものである。 

桜の鑑賞を、日本では「花見」と言う。桜を見ながら酒を飲むことを「花見酒」と言う。室町時代、地方の武士階級が「花見の宴」を始めた。江戸時代になると、花見は民間に広がった。清末の詩人で外交家、政治家の黄遵憲が日本に駐在していたとき、日本で国を挙げて桜に熱狂するさまに驚いた。そして「桜花歌」という詩で「十日之游挙国狂,歳歳歓虞朝復暮」と、桜で国中が大騒ぎする日本人の姿を活き活きと描いている。 

風に吹かれて桜の花が一斉に散るさまを、「桜吹雪」と呼ぶ。花見のクライマックスにあたる瞬間とされている。夜に桜を見ることを「夜桜」と呼び、これも桜の花ならではの習慣である。上野公園と靖国神社などでは、ライティングがほどこされる。「夜に桜が寝るのを恐れ、灯を照らして紅の化粧をほどこす」のである。明かりの下の桜は、さらに純白に見える。東京の千鳥ヶ淵の桜などは、灯の下、風に吹かれて桜が舞う姿は、まるで雪のようである。 

日本語で桜は「SAKURA」と発音する。「SA」とは稲を意味する。桜の樹は豊作の神が住む場所とされ、それゆえ桜の花は田植えの神と関係があるとされている。有史以前、桜の開花は農業を始める指標となっていた。そのため、農民にとって桜の花はとても重要だった。日本各地に「田植え桜」や「種蒔き桜」という名の桜がある。 

現在、桜は春の花の象徴となっている。春先に一斉に開花する特徴を持つ桜が、春の到来を宣言する。日本全国のあらゆる種類の桜が散れば、晩春となる。初夏がもうすぐやってくるのだ。俳句の季語と同様、桜の開花予報や開花速報は春の訪れを伝える印となっている。しかも桜が咲く頃はちょうど学校の入学式の季節である。そのため多くの学校で桜が植えられている。

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