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日本文化の中の桜 無常を感じさせる美観 |
発信時間: 2012-04-10 | チャイナネット |
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どうして日本人は桜が好きなのか 桜の花は常に、葉が出る前に咲く。「何もない時に花が咲く」ことで、古くから生命力の象徴として見られてきた。桜が日本人の精神の象徴である理由は、桜が突然開花し、そして突然いさぎよく散り去るところが、日本人の精神性と共鳴しているからである。桜が咲く姿は、力のすべてを出し切っているように見え、生命力の強さを感じさせる。そして満開から散り去る過程も、人生や享楽、美といったものがあっけないものであると思わせる。潔く散るさまこそ、桜の最も美しい瞬間だと考えられている。 鎌倉時代に書かれた、平家の盛衰を描いた「平家物語」の出だしは「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」である。沙羅双樹はなかなか見かけることはできないが、桜は盛者必衰を考えるのに最適な例であろう。古くから桜は「諸行無常」を体現するものと見られてきた。咲いて、散る。その姿は人生のはかなさを投影するものと考えられてきたのだ。 江戸時代の国学者、本居宣長は「敷島の大和心を人間はば、朝日に匂ふ山桜花」と詠んだ。桜を、「もののあわれ」を基調とする日本人の精神の具体的な例として挙げているのだ。また桜のいさぎよい散りざまは、人間の規範にもされた。江戸時代以降は、しばしば武士道の比喩に用いられた。しかし桜はすぐに散っていくため、家業が長く続かないようにも思われ、桜の花を家紋とする武家はとても少なかった。 江戸時代の「葉隠」には、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という記述がある。明治時代、新渡戸稲造の書いた「武士道」の始まりには、「いわゆる武士道とは、日本を象徴する桜のようなものである」とある。 武士が最も恐れるのは「犬死」である。満開の桜の花が一気に散るように、武士は疑うことなく「輝かしく生き、壮絶に死ぬ」ことを良しとした。武士道精神を重視した戦前の日本軍は、桜を自己犠牲の象徴とした。たとえば特攻機を「桜花」と名付け、戦士や殉職者を「散華」と表現した。 「歩兵の本領」、「ああ紅の血は燃ゆる」、「同期の桜」をはじめとする多くの軍歌でも、このような自己犠牲の精神が反映されており、戦争の時代、多くの人々に歌われることになった。現在、靖国神社では桜の時期になると、大日本帝国時代の栄光を懐かしく思う人々や天皇を崇拝する人々が「同期の桜」を斉唱する姿を見ることができる。Youtubeでも、「同期の桜」は多くの日本の若者の間で人気となっている。 桜の花は、古くから神社や寺院で植えられている。しかし記者が東京で見たところでは、大規模に桜が植えられているのは寺院のほうがやや多く、本門寺や浄真寺、祐天寺などが挙げられる。桜は仏教の諸行無常と思想が一致しているからだろう。墓地にも桜が植えられているところが多い。東京の青山墓地も桜の名所になっているが、ちょうど日本人の「桜の樹の下で死にたい」という願望と一致している。靖国神社は東京の神社の中でも有数の、桜が多く植えられている場所であり、東京招魂社が建てられたその日から、大量の桜が植えられてきた。第二次世界大戦で戦った老兵のために植えられた桜も、数多く植えられている。靖国神社に植えられた大量の桜は、天皇のためにいさぎよく咲いて散った勇敢さを、日本人に鼓舞しないではいられないだろう。気象庁は2009年まで桜前線の予報を担当していたが、その時の東京の観測地点こそ、靖国神社にあった特定のソメイヨシノだった。 日本は四季がはっきりしている。日本人は季節に敏感である。桜の花は春に一斉に咲き、長くて2週間で散る。毎年、人々に強い印象を残すこの情景こそ、日本人の春に対する季節のイメージである。桜は美しいが、開花期間は非常に短い。よく人生のはかなさにたとえられる。そのため、桜は人々を狂わせる一面も持つ。花見の時、多くの人々が酒席で大騒ぎする。日ごろの礼儀正しい日本人とは大いに異なる情景である。 桜の花びらは、平凡に見える。しかしこれらが集まると、壮観な情景を形成する。これもまた、日本の集団意識と符号する。日本人は集団において個性が埋没する。しかし非常に強いチームワークを発揮し、大きな力を作り出す。現在、桜の花は日本人の精神の象徴とされることが多いが、法律による国花の規定はない。とはいえ、皇室の象徴である菊の花と共に、国花同様に位置付けられている。 最近では、桜の花が散るのを惜しむだけでなく、散る桜の花を、全力投球でやりつくした勲章ととらえる人も増えている。最近の曲や文学作品には、桜をこのような象徴として描いたものが多い。小中学校や商業高校、警察、自衛隊の標章でしばしば桜が使われている。他の国ではよく星が使われるのと異なり、警察と自衛隊の階級を示すサインには桜の花が採用されている。ここには警察や自衛官が国民の生命と安全のために命を捧げる誓いが込められている。自衛隊の旗は陸海空軍を問わず、多くが旭日旗と並んで桜の花が使用されている。 現在日本は、より良き友好のために外国に桜を寄贈するとともに、海外へ樹木の医師を派遣している。 |