欒菊傑選手
ロサンゼルスオリンピックでこれまで中国で唯一のフェンシング競技での金メダルを獲得した欒菊傑が、カナダの代表として北京五輪のフェンシング競技に参加している。故郷でオリンピックの夢を叶えた彼女は、国内メディアから注目され、褒め称えられている。また、女子バレーボールで五連覇を達成した時の主力選手であった「鉄のハンマー」こと郎平は、今回は米バレーボールチームを率いて五輪に参加し、中国のバレーボールファンから「郎監督、郎監督、大好き!」と声援を受けている。
米バレーボールチームを指導する郎平監督
北京大学体育館では、元中国卓球チームの名手がそれぞれ別の国の国旗が描かれたシャツを身にまとい、北京に集まる。北京オリンピック公園のアーチェリー競技会場は至るところ、韓国語のかけ声に満ちる。これこそがオリンピック、国境のないオリンピックだ。
異なる国のアスリートとコーチが自らの身体で自らの国の得意競技を普及させるとともに、その競技の世界水準を向上させる。
『オリンピック憲章』は、オリンピックの主旨について「スポーツを人間の調和のとれた発育に役立て、人間の尊厳を守り、平和な社会を発展させることを推進するものである」としている。北京五輪大会の開会式は、現代的な技術を駆使して活版印刷の「和」の字を示し、全体を貫く演出として、終始、間接的に「人」の字をはっきりと表していた。これは、オリンピックの主旨に対する非の打ち所のない解釈だ。五輪競技場では、勝利する者もいれば敗退する者もおり、笑顔もあれば涙もある。だが、五輪競技場では恨みや破壊は永遠に存在しない。最終的にオリンピックは、人々にスポーツの楽しみを伝え、その中からオリンピック自体を向上させていくものである。
女子10mエアピストルの表彰式で、銅メダルを獲得したグルジアのニーノ・サルクワゼ選手は、銀メダルを獲得したロシアのナタリア・パデリナ選手の頬にキスし、2人は抱き合って会場に向かってあいさつした。両国のアスリートが五輪競技場で見せた深い愛情と抱擁は人々をとても感動させた。
貪欲なウイルスの拡散や暴力の魔の手をオリンピックが完全に阻止するすべはないのかもしれない。だが、オリンピックの力は強大でもある。それは「一つの夢」という世界平等の願いをまず、私たちが共有した「一つの世界」で実現させる。まさに、「♪私とあなた、心と心をつなぎ、永遠に一つの家族」となり、オリンピック精神はすでに国境を越えたのだ。
「北京週報日本語版」 2008年8月14日
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