北京五輪の開催申請時に予算を制定した北京五輪経済研究会の魏紀中会長(元中国オリンピック委員会(COC)事務局長)は21日、北京五輪の収支状況について、「予算は黒字で、赤字ではない」と発言した。「中国新聞社」が伝えた。
魏会長によると、当初の予算では総収入は16億2500万ドル、総支出は約16億1千万ドルで、やや黒字になるはずだったが、実際の支出額が予算を上回って22億ドルに達した。これは予算制定時にいくつかの要因を考慮しなかったためだ。
魏会長は次のように説明する。第一に、安全に関する要因を考慮していなかった。予算を制定したのは米国で同時多発テロが発生する前のことで、国際的なテロ事件が今ほど頻繁ではなかった。このため当初は安全保障に充てられた予算はそれほど多くなく、安全面での新たな要因を考慮することもなかった。第二に、為替レートや消費者物価指数(CPI)などの要因を低く見積もり過ぎていた。第三に、科学技術方面への投資という要因を十分に考慮していなかった。
魏会長は「支出の増加は、収入があるということを基礎的な土台とするものだ。収入は当初予算よりもかなり多くなるだろう」とし、また「予算を制定した時の姿勢は保守的で、当時は市場開発予算がわずか10数億ドルしかなかったが、それでも大胆な予算だと考えたものだ。だがこれまでに市場開発によって実際に得た収入は、当初の数字を大いに上回る見込みだ」と話す。
魏会長によると、市場開発収入には2種類あり、一つは国際オリンピック委員会(IOC)が世界規模での開発活動による収入を北京五輪組織委員会に分配したもので、もう一つは北京五輪組織委が独自の市場開発で得たものだ。IOCから北京五輪組織委への分配比率は49%で、魏会長によると、IOCの収入がある程度増えており、中国独自の市場開発による収入も大きく増えているという。
魏会長は「余剰部分は五輪に利用するほか、基金を設置して発展途上国に資金援助することになるだろう」と話す。
「人民網日本語版」2008年8月22日 |