第29回オリンピック大会の競技が始まって以来、主催国中国の選手たちはすでに40数個の金メダルを獲得し、近代オリンピック大会参加以来の歴史的突破を達成した。海外のメディアは、中国が「歴史的な成果」をあげたのは偶然ではなく、これは中国のスポーツ・メカニズムがすでに「重要なグレードアップ」をとげたことを物語っていると見ている。金メダルの数がめざましく増えると同時に、中国の人々の落ち着いた、成熟した「金メダルに対する見方」も多くの海外メディアに敬服されている。

スポーツ理念の現代化は重要な「触媒」である

ＡＦＰ通信は、中国スポーツ界のリーダーたちが北京五輪の準備に取り組んだかなり長い期間に、「さらに現代的な意識を受け入れることにも意欲を示し、これは中国スポーツ代表団が北京五輪で手にした金メダルの数がこれまでを上回った主要な理由であるとしている。同通信の19日付けの記事は崔大林中国オリンピック代表団副団長の言葉を引用して、外国人コーチを招請し、先進的な方法と理念を導入したことは中国のスポーツが成功を収めた「重要な要素」であると述べている。

中国フェンシングチームは最も典型的な成功例の1つである。これについて、フランス『速報』週刊誌は次のように報道している。2006年に、中国はフランスのフェンシング界の知名のパウエル氏を中国フェンシングチームのコーチとして招請した。北京に着いたばかりの時、パウエル氏はフェンシングチームのメンバーがすべて傷ついていることに気づき、さっそくメンバーたちに2週間休むことを指示した。氏は体育総局局長に、「休むことも仕事の一部分である。選手たちはパッションが欠けているようで、ほとんどはフェンシングを生計をはかる手段だけと見ているが、フェンシングはそれよりもさらにパフォーマンスのようなものである。私は選手たちがフェンシングで個性を現すよう励ましたい」と語った。

パウエル氏の協力のもとで、中国の選手は男子個人サーブル・チャンピオンに輝いた。これは中国がオリンピックにおける最初のサーブル種目の金メダルである。これに類した成功例にはさらに中国の男子バスケットボールと女子バスケットボールがあり、この２つのチームのコーチはそれぞれリトアニア人のユーノス氏とオーストラリア人のマッハ氏である。

『速報』週刊誌は北京体育大学教授の言葉を引用して、「かなり長い期間、中国はさらに厳格であってこそはじめて成績をあげることができるとずっと思っていた。以前、コーチたちは20世紀60年代のある『鬼の大松』といわれた日本人バレーボール・コーチを心から崇拝していた。その後、ヨーロッパおよびアメリカとの交流が増えるに伴って、みんなの意識もだんだんと変わってきた」と述べている。

ＡＦＰ通信の報道はさらに次のように指摘している。スポーツ・レベルの向上の原因は多岐にわたるものであり、中国は外国人コーチを招致する以外に、積極的に本国のスポーツ選手に国外でトレーニングを受けさせ、「これは以前では不可能のことであった」。中国選手の張琳さんは今回のオリンピックで男子400メートル・クロールの銀メダルを獲得し、中国男子水泳チームの12年来のオリンピックにおける最も良い記録を樹立した。その成功は著名なオーストラリア人コーチのデニス・クトレル氏と切り離すことはできない。

スポーツ・メカニズムは「みずからの強みをもつ」

いくつかの欧米メディアは従来から中国のスポーツ・メカニズムに対し異なった見方を持っていた。アメリカのあるメディアはかつて中国のスポーツ・メカニズムをただ金メダルを奪い取ることのみを目的とする「スポーツの機械」に例えた。これに対し、トルコ・スポーツメディア連盟官員のアシン・タチケント氏は違った見方をしている。氏は、中国スポーツのきわめて大きな進歩は中国のスポーツ・メカニズムの優位性と切り離すことはできないと見ており、中国では、スポーツ主管当局が生来素質のあるスポーツ選手を選抜、育成しているのであり、「このメカニズムの最大の長所は力を集中し、優秀なコーチたちにいずれも統一的な理念とトレーニング計画を持たせていることにある。このシステムのもとで、中国のスポーツ選手たちは非常に規律を守り、刻苦してトレーニングに励み、その上勝利を勝ち取る強い意欲を持っており、この点は非常に重要である」と語った。

タチケント氏によると、トルコでは、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの「人気のあるスポーツ」の選手以外、その他のスポーツ種目のスポーツ選手は企業から協賛を得ようとしても難しい。資金はこれらの種目のスポーツ選手、コーチとスポーツ協会にとって、重い負担であり、このため、これらの種目のトルコにおける発展は制約を受けている。氏は、「この角度から言えば、中国のスポーツ・メカニズムにはみずからの優位性がある」と語っている。

新しい「金メダルに対する見方」は自信のほどを示すもの

現代世界に融け込む長い過程において、オリンピックの金メダルはかつて中国の人たちを国を挙げて喜びに沸き立たせ、いやがうえにも誇りを感じさせるシンボルとなった。しかし、北京五輪の期間、中国の人たちの落ち着きのある「金メダルに対する見方」は外国メディアを驚かせ、中華民族の成熟した、自信のある心理状態をはっきりと示している。

ある李という姓の北京の男性は「ＶＯＡ」ラジオ放送局記者の取材を受けた際、「私は金メダルにしても、メダルの総数にしても、どの国を超えたとかいうことは重要ではない。私たちが何番目にあるかどうかを問わず、重要なのは私たちの民族を代表していることであると思う」と語った。

日本の『産経新聞』紙は次のような趣旨の論評を掲載している。現在の中国は全盛期の唐のような勢いを持っている。グローバル化の時代において、スポーツもすでに国境を乗り越えて人類の共通の財産となった。中国は大胆に「外国人コーチ」を導入しているばかりでなく、さらに国から出た「海外の中国人スポーツ選手の集団」にも平然とかまえることができるようになっている。中国のオリンピックにおける成果は、中国社会が絶えず開放され、国民心理が日ましに成熟していることへの報奨である。

「ドイツの声」ラジオ放送局は、オリンピックは中国の経済と政治に対するいっそうの改革を含む各方面の発展を促進し、人々もさらに自信を持つようになったとしている。

「チャイナネット」2008年8月22日