60年来、新疆の各民族が平等な政治権利と社会的地位を享有することをしっかり保障し、各民族の共同発展、共同繁栄を実現するために、中央と自治区の各クラス政府は多くの仕事をしてきた。新中国成立前、南疆の一部の地区には農奴制がなお残存し、ひどい場合は個別の地区で農奴制が完全に残っていた。20世紀50年代に新疆は民主改革を行い、旧制度を廃止し、長期にわたって抑圧を受けていた少数民族の人民に基本的人権を獲得させた。少数民族が国家の権力行使に参加する権利は特別に保障されている。各回の全国人民代表大会には、適切な定員の新疆の各少数民族の代表が参加している。第11回全国人民代表大会に出席した新疆の代表は合計60人で、11の民族からなり、そのうち60%が少数民族の代表であった。現在、全国人民代表大会常務委員会と全国政治協商会議の指導メンバーには、いずれも新疆の少数民族代表がいる。自治区地方人民代表大会には、現地のどの少数民族の集中居住区も代表を参加させている。自治区第9回人民代表大会の代表は合計542人で、13の民族からなり、そのうち65.5%が少数民族の代表であり、新疆の総人口に占める少数民族の人口比率より4ポイント上まわっている。
新疆では、主として民族区域自治制度によって各民族間の政治的地位の平等を実現している。国の統一指導の下、少数民族の集中居住地区で民族区域自治を実行し、少数民族に自らの自治地方の内部事務を管理させることは、民族問題を解決するための中国の基本政策であり、重要な政治制度の1つとなっている。新疆ウイグル自治区は、1955年に成立したウイグル族を主体とする民族自治地方であるが、ウイグル族以外の少数民族が集まり住む地区として、カザフ族、回族、キルギス族、蒙古族など4民族の5自治州、およびカザフ族、回族、蒙古族、タジク族、シボ族など5民族の6自治県や43の民族郷が設置されている。新疆は全国で唯一の3クラス(区、州、県)の自治地方がそろった自治区である。各クラスの自治機関は各回の人民代表大会の代表構成や幹部配置の面で、各民族が平等に参加し、共同で管理する原則を堅持し、各民族がともに主人公になることを保証している。各クラスの自治機関は地元の実情に合わせて自治法規、地方性法規、法的な効力がある決議などを制定、実施し、法律に基づいて民族自治地方の自治権利を保障している。2008年末現在、自治区人民代表大会およびその常務委員会は、効力のある現行の地方性法規127件を制定し、法規的決議・決定28件を採択し、ウルムチ市の地方性法規、各自治州、自治県の単行条例100件を批准している。
国と自治区は一貫して、民族区域自治政策を実行するためには少数民族幹部の選抜、育成、起用が鍵であると考えてきた。そこで研修に行かせる、訓練を強化する、現場で鍛える、外部任用、派遣出向・職務交替などさまざまな形で、多くの優秀な少数民族幹部を育成し、少数民族幹部陣の人数と資質を大幅に向上させ、さらに各クラス、各種の少数民族幹部に相応の比率を保証してきた。1955年、新疆の少数民族幹部は4万6000人だったが、1965年は6万7000人、1975年は9万3000人、1985年は20万2000人、1995年は27万2000人、2005年は34.0万人、2008年は36万3000人となり、新疆の幹部総数の51.25%を占めている。現在、自治区政府主席、各自治州の州長、各自治県の県長およびそれに対応する人民代表大会常務委員会主任、人民法院院長、人民検察院検察長などはいずれも当該民族区域自治を実行する民族の公民が担当している。またほとんどの地区、州、市の責任者、州長、市長および県長、区長は少数民族幹部が担当している。
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