彼の名は胡兆洋、階級は列兵(二等兵)だ。彼はあの日、3ヶ所の危険な地点を回った。「皆さん休憩して、次の指示を待って下さい」泥水の中に3時間も浸かっていた彼の体は泥だらけになった。休憩場所の路傍には水があり、これで汚れを洗い落とした。そんな彼を、じっと黙って見つめているおばあさんがいた。身支度を終えその場を離れようとすると、おばあさんは熱いタオルを手にし、彼の汗を拭いてやった。二人は目で「孫と同じくらいの年だね」「集合です、もう行かないと」と言葉をかわし、何も言わぬ間に別れた。記者はこの瞬間を記録し、彼の代わりに見知らぬおばあさんに次の言葉を伝えた。「おばあさん、私たちはみなあなたの良き孫ですよ」。